シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

忍ぶれど

とてもうれしい知らせ…!

 

今日の往診で採血して

早速の、結果のお知らせ

電話もらった時、わたし…

 

夢のなかだった…

まさかの

寝落ち

 

炎症反応改善してた

ママ、すごい!

先生

ありがとう

看護師さんも

ありがとう…

 

ぴったりのお薬処方してくれて

今夜で、終了

そう、ケフレックス!

 

…先生

下品で不真面目で、ごめんなさい…

わたしってそういう血が流れているの

 

って

家系のせいにしちゃいけないね

弟や、甥っ子の、仲間入りしている

 

ここだけにするからね、もう

 

で、なんかわたし

やたらと

世を儚んでいたなあ

って

わかってしまった

 

異常に、おちゃらけるのが

その証拠

見透かされまいと

いつも

にぎやか武装する

声色まで、変わる…

 

そして、ぐったり疲れきる

 

そうやって、頑張って、生きる

自分の、限界まで

 

生きる

って

なんだろう

 

ママが認知症になって

だんだん記憶が消えてって

わたしが一番最初に

忘れられた

 

あの夜も

寒い冬の夜だった

 

だけど、もう

ただ泣けたことと

雪が降ってたことしか

思い出せない

 

それなのに

ママ

今回の入院中、病室で

わたしの名前を

呼んだ

それも、普通に、ごく自然に

まるで、元気だった頃みたいに

 

それも、姉上様の前で

 

 

お家に帰る

と言うから

帰るよ!帰ろう!

って

励ました、ずっと

 

介護も、看護も

犬猫の経験しかなく、何の自信もなく

 

でも

ママが

帰りたい

ゆっくり眠りたい、とわたしに訴える

で、名前呼んで

お願いします

と言う

 

これは

本当に

最後の意思表示になった

すごい、と思った

そしたら

姉上様の前でも、わたしの名前を呼んでみせた

 

ママ

本当に

お帰りなさい…

 

先生

いちばん最初に

 

お帰りなさい!

って

言ってくれて

ありがとう

 

 

わたし

言えてなかった…

 

お帰りなさい、ママ

 

 

帰るお家があるって

しあわせだね…

 

 

ママが

いちばん好きなお歌は

カチューシャのうた

 

とても

せつない…

 

パパと結婚してから、恋したの?

ロマンチックな思い出も

たくさん聞いた

 

でも

消せない思いが、あったんだよね

わたし

知ってる

パパも、たぶん

 

めっちゃ

焼きもち焼いたしね…

 

 

生きるって何かなあ、ママ

しあわせって

 

 

いとしいお前

別れるのはつらいよ

今夜、一晩だけ

いっしょにいたなら

 

明日は

いつ帰るともわからぬ旅に出る

 

一晩中雪が降りつづいて

この雪深い山道が

覆い隠されてしまったらよいのに…

 

 

せつない恋

してたのかな?ママ

 

 

あの人も

まだ、せつなく、ずっと

ママを思っていたよ…

ママには伝えなかったけど

 

わかっているもんね

 

 

この世を儚んで

安居なんか考えたら

いけないね

そこから、もう

逃げるところは

ないんだからね

 

とにかく

今夜は

ゆっくり眠りましょう

シーちゃんと

 

安心して

 

 

ありがとう、ママ

ありがとう

先生

 

ごめんなさい…

 

 

おやすみなさい