シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

桜の夢

お月様

絹の薄いveilを纏い

三日月よりは丸みを帯びて

 

やさしげに

ちょっぴり

寂しそうに

 

桜のてっぺんに

ちょこんと

灯っていた

 

雨上がりの風は

春の夜の匂いがして

また

 

胸の鼓動がはやる

 

さあ…

 

けしかけたのは

孤独と

夜の闇

 

だあれもいない

お店はみんな閉まっている

通り過ぎたご飯屋さんにも

お店の人だけ

 

急に

寂しくなった

ママの病院から

夜更けてひとり

暗闇を歩いて帰る時みたいな

 

それは

つい昨日のようでもあり

 

遠い昔みたいな切なさで

また迫ってくる

 

(早く帰ろう…!☺️)

 

 

桜は咲いて

少しの花びらは

風に散り

足もとに浮かび上がる

 

ああ

春がゆくなあ…

桜は

もう咲いていた

今夜限りの桜

きっと

 

見上げながら

とぼとぼ歩いた

桜の木は

ここで

おしまい

 

お月様は見ているけれど…

 

大きな木の下で

深呼吸して

幹をこころで

抱きしめ

 

ごめんね…

許してね…

 

垂れた枝先の

小さな毬のような花たちを…

 

そうっと

手折った

 

桜泥棒になってしまった

 

小さな小さな幾つかの桜の花

手のひらで

 

震えていた

 

ぞっと指の先に握り

揺らさないよう

散らさないよう

 

ママの待つお家に急ぐ

 

折ってはいけない

 

この町の人間なら

誰でも知っていて

ちゃんと守っている

 

花泥棒になった

折っていけない桜を

折ってしまった…!

 

どうしても

ママに

見せたかったんだ…☺️

 

言い訳にはならないけど

 

ごめん…

 

ごめんね

病気にならないでね…

 

墨を塗りに行こうか?

考えたんだけど

 

盗人のまま

 

夜が更けた…

 

 

ママに

「…桜だよ🌸」

 

(…うん、うん、うん)

 

「…桜の夢見て寝るんだよ☺️」

 

(…うん、うん、うん)

 

 

春が

終わるなあ…

 

桜泥棒の罪は深いな

ママは

仕方なく

うん、うんしてくれたかなあ…☺️

 

相変わらず

駄目なわたしだ

折るなんて

桜もウイルス感染するのかなあ?

 

ごめんよ…

桜…

お月様も

 

ママも

 

ごめん

 

 

夢見てた桜

今年は

見れないんだね

 

ずっと

見ていない桜

公園では見事に咲いているだろうなあ

 

 

幹の色した器に挿した

桜を見ている

(…ごめんね☺️)

 

 

うつくしいものは

人生は

どうして

儚いんだろう

ママは

とてもうつくしかった

 

いまも…☺️

 

 

ママは

穏やかな寝息

わたしは…

 

桜の木に謝って🙏

お洗濯して

 

明日から

また頑張れるように

眠らなきゃ

 

シーちゃんと

 

桜はパパに

仏壇に…☺️

 

でも、もう

パパはそこかしこ

どこでもみんな

見ているんだろうけどね…

 

ありがとう

 

たくさんの苦難をのりこえて

一生懸命に生きて

病気になって帰りついた

ママのお家

さみしくないかな?☺️

 

今日も二人で頑張れた

ありがとう

 

 

 

お隣のおばちゃんたちも

おばあちゃんも

引っ越したお友だちとお母さんも

みんな笑っている

桜の下で🌸

 

笑っている

青い空の下

桜の木の下

 

ちっちゃな弟がいつものおいたをして

みんなが笑う

ママがいちばん

楽しそうに笑っている!☺️

 

夢のなかでは

笑ってね

ママ

 

わたしも

笑っているからね

 

🌸桜も

ありがとう

ごめんなさい…

 

 

天国にも

桜咲いているかなあ…

ねえ

パパ

 

折ってはいけないんだって…

真似しないでね

あなたは…

お利口に

 

 

おやすみなさい

 

また

明日