シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

ムラサキシキブの紫

もう

泣いていません

 

昨日

 

ちょっと泣いた

 

夜も…

 

 

小さな

真白いお骨

 

鎖骨や

胸のあたりは

薄紅になって

 

とても

きれいでした

 

 

ママの旅立ちのお化粧は

わたしにさせていただきました

 

自分はお化粧しないのだけれど

メイクアップしてあげられるのです

フェイスマッサージも

 

体温のない肌

クリームを手のひらに温め

ゆっくり

お顔に伸ばして

 

おしろいを

ブラシではいて

頬紅と口紅は薄紅

 

眉は

やさしく

まるく

ほんの少し描き足して

 

うつくしいママが

よみがえりました

 

ほほえんでいました

 

もう

わたしのところから

旅立ってしまった

という

 

旅立つ

という

そんなさみしさに

とらわれて

 

たくさん

たくさん

泣きました

 

 

けれども

 

今朝は

 

ここにいる

いっしょにいる

 

そんな

 

なんだか安心な気持ちがして

 

こころは

安らいできました

 

 

昨日 

姉上様のつれあいさんが

手折ってくれた

ムラサキシキブ

ママの遺影の前に置きました

 

素朴な山の紫

ママが好きな色

 

 

棺に入れるお着物は

ママのお着物じゃないといけないんだって…

お気に入りのものじゃないと

 

姉上様が

深い墨色の混じった濃紺の訪問着を選んで

 

ママに掛けてもらいました

 

道中お守りいただくように

真夜中

ひとり

般若菩薩を半紙に写し

 

写経した般若心経も

いっしょに入れてもらいました

 

今日の夕方は

お寺さんでお通夜

明日が

お葬式と納骨

 

それで

お弔いは

おしまいです

 

ママ

ありがとう…

 

 

弟夫婦も来てくれていていて

 

おじさんも

従兄たちも

昨日は

かけつけてくれて

ママのお骨を拾ってもらいました

 

ありがとう

 

 

まだ

 

時間が止まっているような気がするし

 

夜はひとり

 

ママの眠る仏間で

仮眠していて

 

わたしだけ

みんなとは違う時間の流れ…

いつものことだけれど

 

 

ママ

 

ムラサキシキブの紫が

きれいだね

 

なるべく

泣かないで

 

また

頑張って生きるから

 

見ていてね

 

助けてね…

 

ありがとう

 

ありがとう

ありがとう

 

 

寒い朝

 

雨が降っています

 

さあ

後片付けをしよう

シーちゃん

 

 

わたしの

真珠色のお着物

ママには掛けてあげられなかった

 

 

 

ママー

 

はーい…

 

まだ

やっぱり

二人ぽっちで

暮らしている気がする

 

今日を信じる

 

明日を信じる

 

自分を信じる

 

 

しっかり

生きてゆく

 

さあ

始めよう

シーちゃん

 

 

ママの遺影は

姉上様が選びました

ちょっと

上目遣いの

気難しい微笑で

 

ちゃんとしなさい

 

たしなめています

 

ありがとう

 

 

一日は

今日限りのいのち

時間は

いのち

 

ひとつひとつ

大切におこない

ひとつひとつ

味わって

 

積み上げてゆきます

 

 

わたしらしく

生きてゆく

 

 

あなたの

一日も

 

平和で

しあわせでありますように

 

ありがとう