シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

風を入れよう

早朝

まだ

ほぼ夜の

 

星がきれいでした

 

ママのいらない洋服を

新聞紙にくるみ

ゴミ袋に

ブロック詰め込むように

 

きっちり

きっちり

はめ込んで

 

わたしの少ない日常ゴミと

全部で4袋になるように

 

朝から

ゴミと向き合った

 

 

こんなことを

こういう

ひたすら地味なことを

ここ数年

地道につづけている

 

 

10坪の空間いっぱいに

天井近くまで詰み上がった

大量のものたちと

澱んだ空気と

 

それらが

そんなふうに置き去りにされた

 

背景と

闇と

 

苦しみと逃避とを

ともに

 

切り崩し

 

コツコツ

ちまちまと

 

分別しては

廃棄できるように

 

それぞれ

ゴミという形で

 

無料で

捨てられるように

 

空間が空いて

風が通って

 

きれいな空気になって

 

お家が

 

ふたたび

お家らしく

もどるように

 

 

 

夢見て

頑張った

まだ

頑張っている

 

 

10坪いっぱいの

パパの残骸

6畳二部屋の

姉上様の残骸

 

手放して

解放して…

 

きれいな空気にして

闇を

遠ざけるのだ

 

いらないものは

重たいから

 

 

 

 

そして

とうとう

 

ママのものたち

 

少しずつ捨ててはいたけれど

施設からもどって来たものも増え

 

 

そのほとんどが

ママが買ったものではなく

 

元気な頃にパパが選んで買った洋服

靴や帽子

地味過ぎて

サイズが大きな

あまり似合うとは言えない

 

ただの一枚も

残せるものがない

 

施設に入ってからは

姉上様がママのために買ってくれた

おしゃれ服の数々

パジャマや靴下

 

 

とにかく

大量です

 

ママが

自分で選んだものは

ごくわずか

 

わたしといっしょで

買わない人

迷って

吟味して

厳選して

長く着る

 

ママセレクトは 

上質で

大切に管理されていて

とてもママらしい

 

すぐにわかる…

 

けれど

BIG!!

 

痩せていた若い頃の

白っぽいペールブルーのレインコートを

一枚だけ

取っておこう

 

 

小学校の修学旅行

ママへのお土産は

何の関係もなく

白い手編みレースのカーディガンを

買ってあげました

 

ガラスの花の形の

小さなボタンがついていて

シンプルな丸首の

 

色白で華奢なママに

とても似合いました

 

のちに太って

着られなくなったら

 

わたしにくれたのだけれど

 

大切に手入れして

柔らかくなっていて

 

わたしはその頃

男の子みたいな格好していたけど

チノパンの薄いベージュや

ジーンズの空色のブルーと

 

白いTシャツと

 

着込んで馴染む

白い手編みレースのカーディガンは

どきどきするほど

似合って

 

パパが

その格好にコーディネートして

真っ白いデッキシューズを買ってくれた

 

記憶は

 

ものから想起されることもあるけれど

わたしは

ずっと

好きなものが変わっていないから

 

日常が

記憶を引き出すソース

 

ものは

いりません

 

 

 

失うことは

こわくなかった筈だ

 

 

生きているだけで

 

気配があり

 

体温があり

呼吸をしているだけで

よい

という

 

そんな

気持ちも

 

ママの介護で

理解できました

 

 

あの

亡き人を風に例え

朗々と歌う鎮魂の歌も

 

風も

 

好きではなかったけれど

嫌いだったけれど

 

これからは

風が吹けば

 

ママ?と

 

雨が降れば

 

雪が降れば…

 

桜が咲けば…

 

 

ママ?

 

ママ

 

生きてゆくんだろうなあ

 

考えるだけで

泣いているから

 

まだ

これからのこと

 

いまは

 

片付いていないお部屋を

恥じていたママのため

 

きれいにして

 

古着物も

きちんと整理して

 

風を入れよう

 

 

それから

11月には

仏間の荒床に敷いた新聞紙が

一年になるので敷き替えなくてはなりません

 

昨年の11月

ママのお家での看取りを決めて

カビ臭い仏間の畳をおこし

アルコールで

何度も何度も

消毒して

 

アルコール禁!

なので

死にそうな酔っぱらい?になりながら

頑張ったのが

 

つい

昨日?みたいなのに…

 

 

もう

ママは

いない

 

ううん

いる

 

いるね

 

わたしと

みんなと

いるね

ママ

 

 

これから生きるための

覚悟は

いつ

できるのだろう

 

コロナウイルスクラスターからの

感染はひろがり

死者が出ました

 

ご無事に

ご無事にと祈り

 

昨日から

また

朝晩のお経をあげて

祈っています

 

 

くしゃみや咳があり

熱はないけれど

目が痛い…

 

お部屋の照明を落として

 

お洗濯しながら

少し休みました

 

だいぶ

楽になりました

 

お買い物は短時間で

以前通っていた八百屋さんや

 

ママの入院中

通り道で

わたしがカーディガンを落として

 

落ちていなかったかと 

途中のお店に 

たずねたら

 

「見つかるといいねえ…!」

心配そうに言ってくれた

年配の女主人の営む

魚屋さんで

お魚を買おうかなあ…って

 

もしも

コロナに負けず

お店を開けてくれていたら

だけれども…

 

とても

不自由ですが

仕方ないこと

 

 

コロナ以前から

おそらく非常識だったであろう人たち

マスクも無しに

こちらに向かって

 

おもいっきり!

ハクション連発したり

 

危険は

どこにでもあります

 

ママの病院の先生

お世話になった皆さん

ご家族

患者さん

 

本当に

ご無事でありますように

祈っています

 

あなたも

わたしも

とにかく

できる対策はいままでどおり

きちんとして

 

食べて

休める時には休んで

 

生きてゆこう

ね…

 

ありがとう

 

ちょっとした風邪様症状に

シナモン入りのルイボスティーがよいです

 

とにかく

生きてゆく

 

 

シーちゃん…

生きてないけど🐱

ママが面倒みていたから

 

鳴くからね…シーちゃん

わるいことしたかも??

いまさら…

 

 

ママの退院に向けて

きれいに洗って準備していた

ふかふかのひつじさんを敷いて

座っている

 

あったかい❗

 

暖房は

小さなヒーターにして節約

 

今夜は

仏間の床の間の照明も

落としてみました

 

 

ママのお膳

ご飯は二種類!☺️

白いご飯と

小豆と古代米と餅米入りの

お赤飯…

 

お下がりを

わたしがいただきます

なんとなく

胃腸の調子がよくなってきました

 

ありがとう

 

 

今夜は

どこで眠ろうかな…

 

ママのそばに

いたい夜です

 

まだまだ

お洗濯

 

木綿のものは

小さく切ってウエスで使いきります

 

 

薄紅の百合の花が

大きくひらいて

 

まん中で

 

ママが

笑っている

 

泣いてもいいよね…

 

体ちょっとつらい

 

でも

 

しずかな

ゆったりした夜…

 

ありがとう

 

明日も

どうかお元気に…

 

また

明日