シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

地底

深くは

 

つながっているけれど

 

海に

隔てられ

 

ほんの

少し向こうでは

 

 

戦争が起きて

 

この

どんより

雨をふくんだ空から

 

風がやってくる

 

 

空は

おんなじ空

 

 

お祈りして

食べて

 

数珠を

つなげていた

 

糸は

絹の穴糸の白で

針は

 

きっと

専用のもの

使うのだろうけれど

 

ビーズ細工のテグスを

ワイヤーの代わりの

道具として…

 

 

祈り

 

これは祈り

小さな

祈りのかたち

 

親珠という

房を固定する珠

三方

穴があいてる

 

針は

通らない

 

 

テグスを輪にして

引いては

糸を

導く

 

 

結ぶところまできて…

 

 

こころ

乱れた

 

途端に

 

テグスが

逃げる

 

 

かなしいよ

シーちゃん…

 

 

ママの

生まれ日の三日は

 

かなしい日になった…

あれから

 

ひと月が

過ぎたのに…

 

 

 

逃げずに

地下室に

息をひそめて

 

生き延びてくれてる人もいる

子どもも

 

生き物もいる…

どうか

生きていて

食料と燃料

ありますように

 

 

 

 

般若心経は

 

たった

一文字

 

くう

 

つきる

 

 

あらゆる事物は

空っぽ

風せんのようなもの

 

 

針で

突けば

 

一瞬に

消えてしまうもの…

 

 

愚かな為政者に

その狂気に

 

奪われてしまう命のために

祈ること

とどくように

 

かなうように

祈ること

わたしに

できるだろうか…

 

 

数珠を

つないでいた

ただ

 

数珠を

つないで

 

食べて

生きてた

 

一日が終わる

 

 

本を

始末し終えた

カバーのテープは

すべて

剥がせて

きれいになった

 

古本屋さんには

持ってゆかない

わたしの

 

よわい

こころ

揺らぐたび

 

いっしょに

歩いてきた本たち

 

それぞれ

このまま

 

これからも

支えてもらおう

 

 

逃げまどう人たちは…

 

身ひとつだ…

 

 

二度と

 

黒い雨となって

降ること

ないように…

 

 

平和を

信じて

祈ることしかできない

 

 

命を

犠牲にして

 

得られるものは

なにもないから…

 

祈ろう

 

 

 

雨が上がって

春へと近づいているけれど

とても

寒い

 

ウクライナ

雪も

冷たい雨も

降りませんように…

 

 

 

一日が

無事に終わって

 

今夜は

ゆっくり

おだやかに

少しも

休めていますように

 

 

お祈りしてます…

 

かならず

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

おやすみなさい