パパに
いつ
その時がきても…
という
そんな頃
すでに
ふたり
暗黙の了解のような
せつないおもい
と過ごしていた頃
パパに
ふたたび
歌をうたってあげるようになっていた
最後の入院は
ものがなしいような
ちいさな古い病院
個室を
真っ暗にして
喧嘩腰みたい
大声で
パパと問答…
くりかえした
ずっと
ずっと
話した
なんでも
おもいつくまま
たくさんたくさん話した…
その時
に
近づき…
激しかったパパの
言葉は
落ちつき
言葉は
やさしく
やさしくなっていった
音
映像
一切拒否
だったパパに
うたうよー!
なにがいい??
と
てづくりの
お歌の本?から
ちょっぴり
うたっては
パパの顔
表情
うかがう…
やめろとは言わないことを
いいことに
しばらくは
ひとりで
真剣に
うたいつづけた
一日
一日
なんか不思議に
上達しながら…
冬の夜は早く
毎日が
一日
一日が
一日きりの
聖夜のようになっていった
パパは毎日
ただ
わたしを
待っていてくれた
夜は
枕元の灯りをともして
光の真ん中で
にこにこしていた…
なにうたう?
讃美歌!
リクエストは
いつも
讃美歌
ああ…
もっと
もっと
たくさん勉強してたら…
讃美歌いっぱい
おぼえていたらよかった…
と…
男の子みたい頭して
British rockに傾倒し
神さま?
そんなの
知らないよ…と
目一杯
こころには
うえなる
神を
慕ってたくせに…
求めてたのに
ひそかにはひとり
学んでいたくせに…
端には
coolなrockなふりしてた学生時代
詫びた…
何度も
何度も
くりかえし歌う讃美歌
何度も何度も
同じリクエストくれるパパ
たのしかった!
おしまいには
声楽の基礎がたたきこまれた
本格メゾソプラノの
姉上さまも
いっしょに
うたってくれた
泣きたいくらい
うつくしく…
震えるわたしの声と
重なり合って
パパ
ほんとうに
うれしそうで…
歌声が
小さな病院の
薄暗い病棟の
寒い廊下に響いた
こころには
あの時の
パパの笑顔
おだやかな
やさしい顔
いつも
いつも
わたしの内で
微笑んでくれる
パパがいる…
最後の
最高の
プレゼント!
ありがとう…
クリスマスイブだよ
パパ
メリークリスマス!
シーちゃんと
天国のみんなと
クリスマス…⛄🎄
ケーキも
なんにもない
雨だれ
聴いて…
真夜中
雪が
また
やってくるんだって…
あちらこちら
猛烈な雪
いつもは
降らないところも
失われるいのちも…
無事に…
いのちを守る
を
どうか
どうか
さきに
悩んでも
むなしくても
かなしくても…
たちどまってても
どうか
無事に…
天国は
どうかなあ?パパ…
お寺
ゆけなくなって
ごめんなさい…
いま
いのちあるひとたちを
天国に
ちかいひとたちを
いのちを守る
いのちをみるひとたちを
すべての
いのちを
見守って
助けてあげてください
戦争や
争いに
困難にあるひとたちを
苦痛から
解放して
救ってください
迷うひとたちの
こころに
ひとつ
ちいさな灯りのように
笑顔
その記憶
よびさましてください
いつか
くりかえし聴いた歌を
ひとりひとりの
耳馴れた
やさしい歌を
それぞれに
響かせてください
聖夜
この夜も
すべてのひとたち
ひとしく
見守ってください
かなしみにも
ひとしく
共に
かなしんでください…
争い
競う
みたされぬこころ
憐れんでください…
ひとしく
見守ってください…
世界が平和になりますように
世界が平和になりますように
一日
一日は
聖夜
まっしろの
まっさらの
一日
一日を
生きる
幸運
今日という
幸福
明日は
ないかもしれないから…
キリスト者では
宗教者では
ないけれど
よい夜を
よいクリスマスを…
今夜
無事に終わって
平和な
おだやかな
やすらかな
聖夜でありますように
かならず
かならず
今夜も
無事にいてください
祈っています…🙂
ありがとう
また
明日
おやすみなさい