シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

不自由

とらわれのない

こころへ

ゆきつく

 

仏教が

その修行が

めざすところ

 

人が

人であれば

かならず

何かしらに

とらわれて生きている

 

 

いつも

せつなく

おもうのは

 

病を

あたえられ

人生の区切りを

おおよそ知らされたのち

人知れぬ

苦しみの果てに

 

何にも

とらわれていないような

さっそうたる姿と

よりそうこころで

 

わたしを

憐れんで

おもいやってくれた友が

いてくれたこと…

 

彼女の

苦しみを

わかろうと

 

おもいやろうと

 

とらわれの塊

みたいだったわたしを

むしろ

いたわってくれた

 

 

自分は

もう何も食べられなくなっても

 

 お腹すいてない?

 これおいしいよ!

 

って

差し出されたクラッカーの味

まったく

わからないまま

一生懸命食べた

 

食べなくては

彼女のおもいに

こたえられないとおもった

 

わたしは

おいしそうに食べるって…

お腹すかしてない?って

母親みたいだった

 

 

スーパーに

あのクラッカー見つけると…

 

ありがとう

と言ってる

まだ小さかった息子さん

残して

どんなにかつらかっただろう…

 

 

消えない

おもい

 

大切な愛…

 

好き

って

しあわせ

おしえてくれて

ありがとう…

 

 

どうしてだろう

 

わたしの愛する人たちは

みんな

急いで

 

若くして

天国へ行ってしまった

天国に

いちばん近いはずの

クリスマスには

会える気がしてる

 

 

人と

自分とに

理由のわからない

奇妙な

隔たりを感じる

 

かかわれば

孤独

という…

 

孤独の

ちいさな自分の

ちいさな世界で

生きてきたけれど

 

いよいよ

そこでしか

生きれなくなったみたい…

 

それでも

生きているから

ゆるしてね

心配しないでね

祈った

 

 

パパママの

最期を看るというのは

たいへんな幸福だった

 

姉上さまのおかげで

支えられて

させてもらえたことだ

 

 

愛するひとたちを

死という

永遠のお別れにより

永遠に失ったことで

 

そのかなしみと

苦しみと

 

与えられた

孤独と

ひとり

生きたことで

 

それらの

おかげで

 

より

天国のひとたちが

近くなり

 

祈りは

しずかに

深まってゆくようだった

 

 

支えられて生きて

迷惑かけて生きていて…

 

祈るしかできないけれど

 

 

不自由なこころでも

どうにか

生きていて

 

不自由を

自由にしたい

というおもいは

わたしにはなくなった

 

この

不自由なこころだから

わたしだから

 

知った愛も

おもえたことも

 

できたこと

見えたこと

たくさん

 

たくさんあったんだろう…

これからも…

 

 

 

天国のひとを

おもう

 

祈る

 

 

この一年

とても

かなしい一年

 

かなしいまま

終わるなあ…

 

おちる

言いたいような

 

沈み込むような

 

絶望の

波がきて

くりかえし

何度も何度もきて

 

のみ込まれて

勇気もなく

こもってた

 

こもってる…

でも

 

わたし

自分を

見てるんだ

シーちゃん

いつも

いつだって…

 

 

天国のひとたち

おもう

クリスマスの夜

 

 

 

雨まじりの雪

重たい雪

邪魔者にされてる…

 

かわいそうだなあ…

 

こんなに

こんなに

きれいなのになあ…

とおもう

毎年

降るたびにおもう

 

今年は

とくべつ…

 

 

どこか

ただ

きれい…

雪を見て

 

ながめては

深呼吸して

 

走って!

 

転がって…

 

空を見てたいなあ…

きりなく雪が降ってくる

雪野原の

まっしろい

ひろい

ひろい野原の

 

まんなかで

わんこみたいに

転げたいなあ

 

そんなとこへ

ゆきたいなあ…っておもった

 

 

朝のお経は

みんな

そらんじる

今朝は

 

こみあげた…

 

昨年まで

あんなに

おそろしいくらい

がんばってた雪片付け

今年は

 

自分の分だけを

よそは

手放し

 

わたしのその決断からの

軋轢や不穏の

ただなかにいるのだった

怖いし

 

奇妙な空気に

屈してしまいそうだ…

 

それでも

いつものように

笑んでいるのは

 

無言

沈黙

貫くのは

 

不自由で…

 

おそろしくも

おもわれるのだけれど

 

ここが

とらわれからの

ちいさな一歩

かもしれない

ともおもう

 

その実

なにも

わかっていないんだけど…

 

たった数冊の本

処分したくなって

 

たったこれだけ…

やめた

 

ほんとうに

なんにもいらないなあ

ということ

だけはわかる

 

どんなに不自由でも

なにも

いらなくなった

 

食べる

のほかは

時々

本を買うだけ

 

このところは

本さえ

読めなくなった

 

 

人間は

ひとりでは生きられないのに…

 

わたしという人間の存在が

誰かを

怒らせたり

悩ませたり

 

不幸にしたり…

 

機嫌

損ねたり

 

かかわることで

負の感情が

わくのは

とても

つらい…

 

それらを

少しでも

回避

できるのならば

 

わたし

どんなに

不自由でも

 

普通でなくとも

 

愚かと

嗤われようと

 

たとえ危険で

無防備だろうと

 

そちらが

 

不自由が

よいのだった

 

 

平和が

よいなあ…

 

 

 

世界がぜんたい平和にならなければ

個人の幸福はあり得ない

 

ゆきつくところは

そこなのだろう

 

ただひとりのひとを

おもうゆえに

その

愛するおもいが

 

世界の

すべての人の

平和と

幸福を祈るおもいに

つながってゆくんだろう…

 

宮澤賢治

読みたいな…

今夜は

 

祈る

わたしも

祈る

 

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

クリスマスも

戦争してる…

 

救急車がゆく…

 

 

無事に

無事にいてください

 

かならず

無事に

 

倒れてませんように

 

眠れていますように

 

 

ありがとう

 

また

明日

 

おやすみなさい