シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

生きてゆくため

死にゆくのだから

 

あきらめられず

 

最後まで

 

パパに

おもい

あふれて

そのまま

言ってしまった言葉が

 

こころない

むごい言葉だったかなあ

 

ごめん…

ありがとう

祈る

お彼岸

 

 

真夜中に

半分

寝ぼけて目覚め

 

一瞬

まだ

パパが

生きていて

 

病院に行かなくちゃ!

って

錯覚

 

だんだん減ってきたのに

今朝

早朝

 

わっ!

 

ときた

 

起きた

 

すぐさま

 

ああ…

って

 

ごめん…

 

ごめんね

仏間の

パパの遺影に謝りに行った

 

お彼岸だ…

 

お彼岸なのに

ごめんなさい

 

 

姉上さまは

ママが真夜中に

ひとりで倒れていた部屋の

その時のママの部屋の

惨状が

いつまでも頭に残ってると

消えないと

 

そう

言ってたなあ…

 

それ

きいて

 

その時いなかったわたしは

 

想像だけで

胸つまり

ひとり

泣いて

 

はやく

片付けてあげなくちゃ…って

はらはら

焦った

 

片付け

まだ全部

終わっていない

 

パパ

ママは

天国だ

 

止まってしまった時間

ひとり

孤独と

 

取り残されてるかなあ

 

壊れてきたのかなあ…

 

でも

 

生きてる

 

ありがとう

 

 

真実な

おもい

こころに

伝わって

 

それらも

消えない

 

いつも

こころにある

 

 

医療従事者

介護従事者

家族

 

それぞれの立場で

 

病にある人

死にゆく人

看る人たち

そばに

いてあげる人たち

 

 

専門職だから…

 

 

家族だから…

 

ということの

まえに

 

ひとりひとり

ただ

ひとりの人間で…

 

 

やはり

こころ

傷む

とおもう

 

どうしても

日々

何かしらの

傷を

うけてゆくのだろうな…

とおもうのだった

 

 

そのような場所に

お坊様

いてくれたらよいなあ…

おもう

 

病にある人

 

そばにいる人

 

なるべく

傷まずに…

 

生きてゆくために

 

そばにいて

お話

きいてくれる人

 

 

こちら

あちらとを

生きて

祈って

 

つないでくれる人

 

死なない人間は

ひとりも

いないから…

 

 

いま

映像も

なんにも

見れなくなってるけれど

 

宗教や介護

そして葬儀や

そのような番組

時々

録画してある

 

やっぱり

見れなくて

 

消したりして

 

 

以前

お坊様同士のご夫婦のドキュメンタリー

見たことがあった

 

夫である

お寺の住職は

地域の病にある人を支える活動を

お寺の仕事と並行し

大変に快活に

精力的に

こなしていた

 

妻は副住職で

僧侶であり

医師でもあった

 

ある日

住職に

重篤

病が発覚して…

 

それまで

支える側だった住職は

自らの病に

突然

直面し

 

混乱し

絶望したりしながら

 

医師で副住職の妻と

支え合い

終末へ

 

涅槃へ

向かってゆく…

 

そんな内容だったと記憶してる

 

妻に

 

死への無念

恐怖

孤独

 

おもいのたけ

ぶつけては

子どもみたいに

泣き崩れていた住職

 

とても

人間らしくて…

 

お坊様の

くるしみ

痛みも

 

人間の

それで

 

人間の

姿で…

 

 

お坊様を

支えてくれるのは?

 

 

仏さま…

なのだろうけれど

 

お坊様も

人間だ

 

お釈迦さまも…

 

 

生きる

って

せつないな

 

くるしいな…

 

 

だから

生きてる今日は

ありがたい幸運

 

しあわせなのだ

って

 

無事に

って

祈る

 

 

パパは

最期に

わたしたちに

がんばって

つよさを見せたかったかなあ…

たぶん

 

きっと

こわかったんだな

 

こわいこと

たくさん話したのは

 

恐怖と

現実

やり過ごすため

だったんだろうな

 

ずっと

 

ずっと

しつこく

きいた…

 

話し合った

 

話してるうちに

しつこく

きいてるうちに

 

なんか

昔どおりの

パパになってくれて…

 

あの

細めて

 

あご

しゃくる

ほほえみ

かえしてくれて…

 

むしろ

 

かわいそうになったっけなあ…

 

泣きながら

雪のなか

とぼとぼ帰って…

 

 

 

痛い

くるしい

たった一度きり

 

こんな痛い喉いらない!

 

って…

 

 

精一杯

精一杯

かっこつけて!

 

かっこよく

旅立ちしたんだな…

 

いまも

泣けてくる

 

ママのまえで

泣いたり

死にたくない

いっしょに生きていたい

言いたかっただろうなあ

つよがってたくはなかったろうな…

もう

すでに

無理な

かなわぬことだったけれど…

 

最初に

ママが倒れた時

 

ずっと俺が面倒みるんだ

宣言した矢先

 

パパに

末期の胃がんが見つかったのだ…

 

 

パパに

姉上さま弟

いてくれて

パパ

しあわせだったねえ…

 

 

パパ

ママ

旅立ち…

 

知らなかったけれど

 

あちらでは

修行してくれてるんだ…と

 

なんにもできないわたし

詫びて

 

わたしも

祈っていた

 

パパ

ママが

くれた言葉

よい言葉…

わたしにあるよ

わたしになったよ

 

ここまでの

道のりは

役立たぬ

つまらない道だったけど

 

みんな

あって

ここにいる…

 

ありがとう…

 

 

お経

まだ

おぼえてないお経

くりかえし

くりかえし

唱えてた

 

ありがとう

 

お彼岸なのに…

ゆるしてね

 

ごめんね…

って

言ってて…

 

ごめん

 

 

わるい

だめなわたしだなあ

泣ける

シーちゃん

 

ただ

祈る

 

ただ

祈る

 

お洗濯と

もの始末しながら

 

祈る…

 

 

わたしに

真実な

おもい

伝えられる

吐きだせる

相手は

いないけれど

 

パパ

ママ

おじいちゃん

おばあちゃんたち

 

仏さま

 

おられるなあ

おもった

 

 

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

役立たぬわたしの

 

ちっぽけな

よわい

祈り

 

恥じる…

 

 

本屋さん

ゆきたいな

 

仏教の本

探しに

 

仏さまに

めぐりあいに…

 

 

姉上さまに

お手紙書けたらよいなあ

でも

困らせてしまうのかなあ…

 

しょぼくれる…

 

 

真実な

おもい

 

真実な

こころ

 

祈った…

 

 

人が

人間が

生きてゆくために

 

そばに

いてくださる

お坊様

 

ありがとう…

 

勇気があるなあ

すごいなあ

って

おもうのだ…

 

こちらにも

そういう

お坊様

いてくれたらよいなあ…

 

 

役立たぬ

守るべき

たいせつなものも

なんにもないわたしに

 

パパ

ママの

そばにいさせてくれて

ありがとう

って

 

姉上さまの写真に伝える…

ママ囲んで

みんなで撮った写真に

毎日

伝える

 

そこにも

 

わたしは

いないんだ

 

ごめんね…

 

かなしくて…

でも

 

ありがとう

って

おもう

お彼岸

 

パパを

おもう

 

ママを

おもう

 

なんだか

わたしに

ついてきてくれてるような

お部屋で

ふたりで

待っててくれてるような…

 

あったかいこころになった

今日

 

ありがとう…

 

 

今夜

無事に終わっていますように

 

安心して眠り

ゆっくり

ゆっくり

明日

待てるように…

 

かならず

かならず

無事に

 

 

ありがとう

 

また

明日

 

 

おやすみなさい