シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

あのとき

あなたがいるのに

ご飯もお弁当もない

って

 

姉上さまが

言ったときのこと

 

あのときのこと

 

あのときの

冷蔵庫

ガスレンジ

おもってた

寒い台所で

 

冷蔵庫には食べ物が

ほぼ隙間なく詰められていた

 

ガスレンジは焦げついていて

危険

感じた

 

パパ

ものすごく

たいへんだったんだなあ…

まずは

お掃除しなくちゃだなあ…

って

 

手をかけたら

パパは

なんでも

 

捨てたのか?

って

怒ってしまってた…

 

ただ

おろおろしてしまってたなあ

 

かなしみ

ぶりかえす…

 

おろか…

 

 

ご飯つくる

とか

お掃除お片付け

とか

その役

ここに

ほかには役立たぬわたしの

するべきこと

わかっていたのになあ

 

ごめんなさい…

 

 

あのとき…

 

あのとき…

 

そんな

おもいばかり

どっと

いちどきに

きてしまう

 

そのたびに

 

自分とは?

生きていてよいものなのか?

 

生まれてきたのは?

 

生きているのは…

 

そういう

意味ない

おもい

 

答えも

意味もない

問い

 

つのる

 

 

その

くりかえしだ

シーちゃん

って

 

朝は

また

お布団に

お経おとなえして

やっと

やっと

お布団を出られた

 

ごめんなさい…

って

起きられた

 

ごめんなさい

 

 

零下

 

まだ

十二月

 

 

夜になって

これも

やっと

あの古灯油入り古ストーブに

点火できた

 

仏間に焚いた

室温は

5度

 

臭気が

かなりなものだったけれど

黒煙は上がらなかったので

安堵した

 

使い切るほうが

捨てるよりは楽

ありがとうだねえ

って

 

この冬

はじめて

暖房をつけた

 

すぐに

息が

心臓が

くるしくなって

 

そっか…

こんなに

よわってるのか

 

ほんとうはストーブの暖気

もったいないんだけれども

 

換気のため

開放しつつ

焚いた

 

贅沢なことなんだけど

 

ひとつ

だなあ…

これも

ありがとうと

お祈りしていた

 

 

そのストーブの臭気ばかりでなく

なんとも言えず

くるしくて…

 

気づいたら

 

南無阿弥陀

 

 

お念仏していた…

 

 

あのとき

ご近所さんの年かさの女性に

 

あちらへと

迎えられるときに

お迎えにきてくださる仏さまは

阿弥陀さまですよ

 

そう

伝えること

できていた

 

さいわい

 

あれきり…

 

会えなくなってしまったのだ…

 

 

おろか

悪のわたし

 

お浄土には

ゆけないけれども

 

願ってもならないんだけど…

 

ひとは

すべて

救われ

 

すべて

お浄土へと

お迎えしてもらえるという

 

その

へと

たどりつくことできたとき

 

よかった…

って

 

ほんとう

よかった

おもった

 

 

そうならば…

 

やがて

かならず

この

世界は

 

平和の

へと

 

ひとつの国

なれる

 

そう

しみじみ

おもわれた

 

それなのに

いつのまにか

絶望したかなあ…

 

もう

きもち

こころ

あまりにゆれて

 

おちて

 

なにひとつ

ひととして

あたりまえ

為せてない

 

ただ

いま

ひとつ

それだけが

 

しあわせの

ぜんぶ

 

 

願わくは…

 

すべて

すべて

まったき宗教の

 

まったきおしえ

 

すべて

 

まるく

 

まるく

つながってくれて

 

平和が

あって

なんの不思議ない

 

お浄土のような国

天国のような国

へと

 

ひとつ

なってくれたならなあ…

 

祈る

 

すべて

祈りが

つながってくれること

 

祈るばかり

無為無力の

おろかにも

 

祈らせてください…

 

ごめんなさい…

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

 

死の

ときは

かならず

くるなあ

 

いま

かも…

 

明日はないのだ

この

いま

 

パパ

ママへ

 

お釈迦さま

 

ありがとう

 

姉上さまへ…

 

ごめんなさい…

ありがとう

 

お祈りした

 

 

捨てて

捨てて

 

捨てるしか

なくなってしまったのは

 

これも

あのとき…っていう

 

もっとはやくに

もっとがんばれてたならば…

っていう

 

あのとき

 

きりなく

おそってくるなあ

 

ごめんなさい…

 

ごめんなさい…

 

 

ストーブの灯油

ほんのすこし

減らすこと

かなった…

 

ありがとう…

 

ごめんなさい…

 

 

 

生きて

あたえられた

いちにち

 

ありがとう

 

役立たぬ

 

ごめんなさい…

 

ごめんなさい…

 

 

 

倒れていないこと

無事にいてくれること

ただ

祈っています

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい