雪
雪
雪
零下の日
お墓
おもった
もう
雪が
いっぱいだろうねえ
パパ
ママ
と
かなしくなった
自分の
おろか
つねに
いかなるときにも
わきまえていたならば…
いま
このような
孤絶の
孤独の悪
ここよりは
いくらかは
かるいところに…?
などと
言葉にしてみれば
まさしくの悪
おもったところで
とりかえしのつかぬこと
さらに
もっと
もっと
悪を造ること
そのような
おもい
とめどなく
つなぎかける
こらえるんだよ…
こらえるんだよ…
と
自分に
言ってた
ただ
こらえよ
の
言葉
お釈迦さまの言葉
念じていた
わびている
ずうっと
ずうっと…
危うさ
危険は
その
おごり
が
うみだすのだろう
謙抑
つねに
わきまえて
生きるべきもの
生まれたときから
そうでなくてはならないわたし
であっただろうに…
姉上さまに
弟に
ごめんなさいと
こえ
だして
言う…
お仏壇のまえ
お家中
どこにも
どこにも
ごめんなさい
あふれてく…
そして
ただ
ありがとう
おっかけているなあ
馬鹿だなあ…
こうやって
死んでくんだなあ
って
ありがとうだよお…
って
かなしくなった
ぐあいがわるいと
ほんとう
かなしい
シーちゃん
鼻水が
ひたすら流れてきて
それでも暖房をつけれないで
もたもた台所に立っていた
また
ただ
お仏壇のまえに
すわっていた
なにもかも
否定されつづけているような
あやういこころがくるなあ…
すべては
してならぬこと
と
おもわれてくる
すわって
お茶を
何度もとりかえて
あたたかなうちに
おそなえして
お線香たいて
すわっていた
そのうち
冷えきった仏間
なぜだか
かすかな
ぬくもり
感ぜられた
ありがとう
ただ
生きていて
ごめんなさい
お祈りした
動けないほどに着込むんだけど…
真綿入りの半纏など
ママがのこしたものたち
救い
パパの
時計は
ひとつ
遺愛の品と
そう
おもえるひとつと
いつもいっしょだ
修理してもらった
外国の高価なものでもないのに
うやうやしくお直ししてくれた
手をかけてもらって
いよいよたいせつに
おもわれてきた
こころの底から
ありがたかった
直らないかもしれないと
はじめに聞いていたけど
パパ
ママ
ふたりに
どちらにも
この時計にまつわる言葉
笑顔でもらっていたので
捨て切れず
修理かなわなかったなら
お仏壇に飾ろうとおもいます
よろしくお願いいたします
と
頼んで
そうして
直してもらえたのだった
ママは
いつからか
自分のもの
自分で選ぶ
ということ
なくなってしまったようで
そのことが
ママのもの始末を
余計に
つらくさせているのかもしれないなあ
ママは
以前あんなにも
お気に入りを吟味して
ほんとうに長く丁寧に
つかいつづけるひとだったのに…って
まったく
ひとつとして
遺愛の品
とおもわれるもの
無く
数ばかりが多くて
脈絡のない嗜好で
大量に
のこされていたなあ
どこかの
町の用品店の記事をみつけて読んだ
先代店主のおじいさんが
手縫いで学生服を修理してくれて
それをいまでもお客様が持っていてくれて
という
ものも
手をかけてもらうと
こころがこもるのだなあと
なんだか
あついもの
こみあげた
ぼろぼろのものたちも
ここまでも
何度となく
手をかけて
着られるようにして着つづけて
それから
手放した
ママのもの
なんにも
ねうちないわたしのもの
がらくたたちは
どうしたら…
捨てなくてはと
わかっているのに
動けないほど
寒い
夜
また
正の字と
オイルヒーターつけさせてもらった
ありがとう…
泣きたいくらい
あったかい
ありがとう
お墓
雪に
うずまって
寒いだろうなあ
と
ここにいてね
いっしょにいてね…
いっしょに
いっしょに
食べよう
と
とにかく
一所懸命
食べていた
こらえよ
わきまえず
悪に
魔に
のまれて
ごめんなさい…
お釈迦さま
お祖師さまがたも
おしまいの
言葉たちに
ただ
つらぬかれてある
こめられて
ある
おもい
ひとつ
と
おもわれる
抑
こらえて
うけて
うけて
ひろく
おおらかに
と
そういうことなのだろう
と
おもわれる
和尚さんたちへの
不信や
絶望や
かなしみに
のまれていることや
こらえきれず
ごめんなさい
ごめんなさい
ただ
ごめんなさいと
お祈りしていた
祈って
ゆく…
先日の
三年まえの
その
もっと
もっと
以前の
どこまでも
いたましい事件
祈る…
それらに
傷みつづけてしまう
よわさ
わびる
なんにも
できない
どこへも
ゆけない
悪
わびる
さいごの
ママの
ぼろぼろなのに
捨てられないまま
何度も何度も洗って
ただ
ながめては
泣けたもの
手をかけて
ちくちく
手縫いで
お直ししてる
だれが
どうおもおうと
どんなに粗末と
おもおうとよいのだった
まったく気にならないわたしだなあ…
お着物の古いものたちを
へんてこりんお直しして
半纏やぱっちやもんぺやリュックや
戦時中のひとのような格好してられたらなあ
って
それでも
パパは
笑っていてくれたなあ…
ママは
きちんと女らしくのひとで
風変わりな服装のわたしに
困り果てていたなあ
姉上さまが
modeの先端なんだよ
って擁護してくれたら
そうか?
って
なぜか
がんばれ
って…
馬鹿みたいな
とんちんかんな
なんでもない日の
ここに
あった
しあわせの
ちっぽけな
ひとつ
ひとつ
うかぶ…
寒い
寒い
夜
戦争が終わりますように
世界が平和になりますように
なんとかして
死のお片付け
と
ねがうけれども…
鼻水と
頭痛に
めげてしまってた
ごめんなさい…
ごめんなさい…
いちにち
横になる
も
できなくて…
お仏壇のまえに
すわる
しかなくて…
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい…
夜
ただ
平和に
無事に
終わってくれるように…
夜
ゆっくり
ゆっくり
しずかな夜になって
やすめているように
どうか
無事にいて…
祈っています
かならず
かならず
無事にいてください
ありがとう
また
明日
おやすみなさい