遺偈
お坊様の
おしまいの言葉
のこしてゆく言葉
こころのこしてるかなあ…?
パパ?
って
真夜中
自分のいまの
数えきれないどうしよう…を
ただぼんやりおもってた
円仁
慈覚大師のこと
おもってた
たいへんひかえめなお坊様だったらしい
遺偈には
弟子の遍照をおもっての一条が
しっかりとのこされている
泣ける…
病に臥して
のこしてゆくしかない弟子
まだ修行の途中の弟子の遍照を
おなじく自分の弟子の
安慧に託すための一条
旅立たねばならないわが身より
ただ弟子をおもって
おもっておもって…
こころ砕けるほど
おもって
のこされただろう遺偈
眠れない
どうしよう…シーちゃん
眠れないまま
また起きた
神仏のこと
だけが
ひとらしいことだなあ…もう
壊れてく途中
じゃないなあ
壊れているんだなあって
パパ
ママ
と
すわった
師
お正師さま
たれでもよいはずがない
円仁だからこそ
師と
もとめ
こころ定めた遍照だったろうに…
慈悲にみちた一条
自分のためにだけ
のこしてもらった一条
遍照の
そのこころのうち
おもってた
ずっと
遍照は
師を
送るかなしみと
師の
慈悲と
パパに
ごめんなさい
と
お祈りした
よわって
ごめんなさい…
こわくて
ごめんなさい…
ひきこもりになってて
病にも
向かえなくて
ごめんなさい
一所懸命
一所懸命
ごめんなさいしていた
おねえちゃんにも…
そうするうちに
お浄土では
修行していてくれる
あの
ありがたい言葉がきてくれた
そうだ…
こころのこしてはいないんだ
だれも
もう
修行しててくれてるよ…となった
約束したのにわたし
パパとお家のお片付けをする
と
何度も
何度も
約束したのに…
命懸けと
おもって
ひとつでも
ひきこもりだもんねえ…パパ
もうとっくに壊れてるんだ…って
ふらふら
よたよた
ひとつでも…と
南無阿弥陀佛
南無阿弥陀佛
そうして
気をつけてと
南無阿弥陀佛
気をつけて…と
めちゃくちゃ慎重に
ひとつ…
ひとつ
つなぐ
パパに
ママに
ありがとうしながら
つなげてもらった…
ありがとう…
パパとも
ママとも
お片付けの約束した
おねえちゃんは
わたしの部屋を片付けて
あなたが使うといいよ
って
言ってくれてたなあ…
約束したのもいっしょだ
なのに
わたし
ただおねえちゃんの慈悲にすがって生きてる…
迷惑心配かけるばかり…
そのことも
ずっと
パパに
ママに
ごめんなさいしてきた
ただ申し訳なく
いたたまれない
パパママの
一等愛する子
おねえちゃん
こころのこしている…?
いつまでも
そんなこと
おもわれてたのは
わたしが
ずっと
おねえちゃんに負担かけ
迷惑かけて生きてるうえに
とうとう
こんな
孤絶に…
わたしがわるい
ただひたすらわるいわたし
知った
身にしみて
知らされてく
ひとつ
は
やがて
空っぽ
までも
かなえてもらえてたじゃないか…
みんな
あちらで
修行しててくれてるよ…
泣いて
泣けて…
ひとつでも
もしも
ひとつ
かなえられたら
それ
いまの
最上の
さいわい
南無阿弥陀
お念仏と
いっしょ
みんなと
いっしょ
ひとつ
終えられた
ありがとう
と
すわった
遺影
かがやいて見えた…
ありがとう
ありがとう…
まだまだ
まだまだ…で
どこもみんな
ぜんぜんごちゃごちゃなんだけど…
ただ
一瞬でも
しずかなこころ
平和な
こころ
つなげてもらった
平和
祈る
戦争が終わりますように
世界が平和になりますように
たのむとて
こころのこして雨となり
風となり来ぬ
南無阿弥陀佛
ずっとしゃがんで
ものすごい胸焼け
痛い…
けど
うれしい…
心配かけてごめんなさい
修行しててくれてありがとう
おねえちゃん
ごめんなさい…
ありがとう
ただ
すわった
夜
しずかに
無事に終わってくれていますように
無事に
平和に
夜
こえて
かならず
こえられて
明日
かならず
あたえていただけますように
かならず
かならず
無事にいてください
ありがとう
また
明日
おやすみなさい