シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

ことば

何百という頁から

ひとつの

言葉

 

そのため

一冊は

あるんだなあ…

 

あった…シーちゃんあったよ

 

忘れるんだ…ここにいたんだ

 

忘れないことには

あらたには覚えられないという脳

脳科学者の言葉だ

 

 

南無阿弥陀

 

すでに為した悪

生きてあるゆえに為す悪も

 

忘れてはならないんだよ

 

自分に

言った

 

読めないのならば始末してやろうと

おもっても脳みそが…

おっかなくなって

寒くて寒くて…

 

ああ十一日

 

よろよろふらふら起きた

 

あの大地震の…

十一日は

月命日と

ずっとおもう

 

お経おとなえした

 

聞こえがたくなったのも

はっきりわかった

 

フジコ•ヘミングおもって

 

おしまいの猫二匹おもってた

 

ネズミのおもちゃくわえて

すっ飛んで持ってきてくれて

呼べばかならず飛んできてくれて…

 

すりすりしつこくて…そのくせ

抱っこは自分の気が向いたときだけ

ざりざりわたしにも毛づくろい?してくれて

アイコンタクトは見てなくてもしてくれて

二匹で弱虫プロレスして負けるのは

いつもおっきな子…

そうだ…言葉

あの子はおしゃべり猫だった…

ごあーん…ってご飯ねだる

それから…

 

 

やっぱり

パパママ

おねえちゃん弟

 

 

おもった

 

耳鳴りの海の波みたいな音聞いていた

なんにもかなわずに

食べて生きていて

 

ごめん…

ごめんなさいって

 

祈っていた

 

 

見つけた…あった

そうおもったのは

 

八木重吉の詩

 

ここに

書こう

 

 

 

  ことば     八木重吉

 

 

 ゆうぐれの陽のなかを

 三人の児が

 ななめの畑をのぼってゆく

 みていれば なきたい

 

     *

 

 ああちゃん!

 むやみと

 はらっぱをあるきながら

 ああちゃん と

 よんでみた

 こいびとの名でもない

 ははの名でもない

 だれのでもない

 

 

 

 

祈らせてください

 

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

 

 名も知らず呼び来しは友父母か弥陀

 南無阿弥陀

 南無阿弥陀

 

 なもしらずよびこしはともぶもかみだ

 なむあみだぶつ

 なむあみだぶつ

 

 

 

お腹空いているまま

熊がさまよってる…

もう畑も霜がおりる頃

荒れて

凶作で…

 

 

なんにも目的無しに

むやみやたらと歩いたり走ったりしてた

いまなら…熊がいるところまでも歩いて…

雪には

遭難?ホワイトアウトのなか

空を見上げていたら

 

親切な青年が真っ白のなか来てくれて

大きな通りまでいっしょに歩いてくれて

やっぱり

あの頃もお話をしてもらいやすいわたしで…

 

こころが疲弊してしまって休職してると

うろうろ無意味に歩いているんです…と

 

歩いてくれてるひといるんだ…って

 

ありがとうって…

 

パパが

ママが

まだ生きてくれてて

どちらにも歩いて通っていたんだ

 

 

 

ことば

 

言葉

 

 

見えないこころ

うつすことば…

 

 

こころ

ことば

 

にんげんだけじゃない

ことば

恐竜

生きのびた鳥のことば

 

猫のことば

 

わたしの

ことばは…

 

 

ごめんなさい…なんにも

ひとつも

伝えられない

 

こわくて

どきどきくるしくなって

 

伝えられない

 

 

ごめんなさい…

 

 

おねえちゃん弟

パパママ

みんなおもって

十一日

 

お祈りと

なんにもならず

うごけず

 

薄暗いところ

ほっとして…

 

ひとり

祈る

 

 

 

食べて生きているきり

なんにも意味ない夜だ

 

ごめんなさい…ごめんなさい…

 

生きています

 

いっぱい食べて

意味なく食べたくて…ごめんなさい

 

ありがとう

 

ありがとう

 

 

 

 

こわいこと

なんにもないように…

 

倒れないように

転ばないように…

 

夜こえられて

無事にかならずこえられて

 

明日

かならず

無事につなげられますように

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

 

ありがとう

 

 

 

また

明日

 

 

 

おやすみなさい