ママの日記
きっと
わたしが処分しなくてならないもの
そのいちばん
なんだろな…ママ
真夜中なんでだか
明日は
生きて起きられないきもちして
ラジオの曲に合わせて歌ってみていたら
日記…だけでもママのもの始末
わたしのしてやるべきことだろうなあ…
ママに
聞いた…きっと真夜中の階段の恐怖から
そんなこと突然
こころ占めてしまったみたい
階段だろうとどこだろうと
どこも暗いままでいるから…
あの階段落ち?恐怖は消えないから
どでかいブラウン管テレビもろとも
二度三度転げそうになりながら
なんとか落ちず下ろせた…あれ
恐怖の傷になり
階段上れば
かならず
きてしまうんだ
夕方近くに
また地震がつづいて…階段恐怖きた
たましほろぎ…
こちらの言葉
ずっと忘れてた言葉きた
魂放下?かなあ?
パパなら知ってるかなあ…
パパに聞いてみたかった
泣きたいような…
生きている申し訳無さ
恐怖のいま
申し訳無い
ありがとう…パパ
ありがとう…ママ
ありがとう…おねえちゃん
声に出して
ありがとうと
また台所にもどった
みんな
みんな
生きていないひとときり話してる…
おねえちゃんには…
こころにきり独り言に言うきりだ
生きていてくれるにんげんから
ぜんぶ
隔絶孤絶した
それが
悪で無くてなんだろう
お寺お墓にゆけなくなったのでない
お寺お墓にゆく資格
無いわたしなんだ
ごめんなさい…
南無阿弥陀佛
ごめんなさいのお念仏
またごめんなさいしていた
捨てることかなえられなくなった
もの始末お片付け
手をかけられない
食べて生きるきり
ならば
食べもの捨てること無く
すべて食べ尽くさなくては…
壊れた冷蔵庫
極寒のおかげで冷えている
残りのお野菜を皮までぜんぶ
下ごしらえして漬けるものは漬けた
お野菜たちは傷んでいなかったのが
ただうれしくて…有り難くて
お野菜にもありがとう言って
ありがとうしながら終えられた
ありがとう…ママ!おばあちゃんたち…
自分で自分に言って
自分に問う
独り言
壊れていないとは言えないわたしだ
壊れてく道の途中だろう
気をつけて…自分に言う
この国は
森林あちらこちら手も入れられずに
よわっている…政策の失敗も重なり
かつてのような湿潤の気候の国では
まったく無くなってしまったんだ
どこもどこでも火の用心…
パパの遺言
どこもどこでも
気をつけて…
祈りと聞くニュース
牡蠣の養殖漁師さん
海をゆたかに守ろうと
ひとり木を植えてくれてたひとも
亡くなってしまったなあ
南無阿弥陀佛
南無阿弥陀佛
南無阿弥陀佛
お念仏
こころ
つなぐ…わたしのこころ
壊れてくこころ
つなぐ
自分とは
いま
自分とは
いまきり
そうならば
刹那も
刹那とどまるも
かなえられない自分とは
ほんとうにまったく
無いものなのだなあ
凍える台所で
黄泉のひとらと語っていた
お野菜にもありがとうと始末して
終えられた夜
お仏壇のまえ坐った
またわびて
こころにきりごめんなさいとわびて
オイルヒーターつけさせてもらった
ありがとう…
ありがとう
今日生きています…
南無阿弥陀佛
ママは
お浄土
ママは
きよらかな珠
ママは
わたしとなってくれた
いま…ママと生きてるよ
ありがとう
ありがとう
ありがとう
迷う
病にも
身動きできない壊れてゆく自分
自己
無い自己
恐怖にも
打ち勝てなくとも
有り難いいまある
心配って
我欲と
執着と
おしえてくれたのは…
おねえちゃんなんだなあ…
おねえちゃん自分で自分を心配性と
そう言っていたけれども
あなたは心配するから…
って
すごい困った顔になって言ったんだ
探るようにわたしに言ったときに
ああ…わたし心配してるのか…と
やっと知らされたんだ
心配は
我欲執着の悪と
自分を自分でわかることも
かなえられなくて
なにを心配する?
ただ揺れて波立つ
自分というもの
だれを
なにを
どう心配するというんだろう…
おねえちゃんに迷惑かけてしまったけど
おねえちゃんに迷惑かけずには
生きてこられなくて
いま
未だに
迷惑かけるばかりで…ごめんなさい
きっといちばん困るだろう
ママの日記を始末してやるのは
捨ててやるのはわたしの仕事だろう…
ママの認知機能
脳出血以前にすでに
どこか落ちつかぬ様子わかる日記だ…
くるしみも…かなしみも…そこだけに
記されてあるから
捨てるもつらい
読むは
もっと…
これは?
という
言っていないこと…わたしのこと?
そこかしこにある
でも
ママは母親だから
落ち込みだと?深層?
気づいた?考えたってわからないこと
完全妄想ならば…
電話で話したときにあったことだった
それらはもはや勘ぐりとは言えない
ありえない妄想とわかった
言ってしまうかなあ?それ
と
衝撃うけて記憶してた
完全な妄想だってわかったんだけれど
わたしはしっかりぜんぶ聞いていた
ママ笑ったら
笑って
おかしいと言えば
そうだねえ…と
受け流して
だれにも言わなかったんだ
年を重ねてゆくと
そんな妄想があるらしいって
本には読んで知っていたから…でも
いざ自分の親に起きてしまったら
心臓がばくばくした…
心配性すぎるのはママ
いちばんは
ママだから…
9.11
ニュース聞いていて
あの恐怖きた
アフガニスタンに米軍
十万二十万と入っても
タリバンが制圧した
タリバンは
二万足らず…
また
中村哲さんおもっていた
眠れず
真夜中のラジオに聞いた曲
cry
世界中が泣いてくれたら…と歌ってた
自然のために
戦争のために
平和のために
戦争中が…泣いたならば…
彼は
依存に
くるしんでいたけれども…
数々の謎と
疑惑と勘ぐりと
困難とあったけれども
祈るひとだったんだと聴いていた
わたしにも祈らせてくださいと聴いた
戦争が終わりますように
世界が平和になりますように
自分で自分をほめたいとおもいます
と
泣いた女性の
親友のひとが言っていたこと
ああ…そうか
ってなったんだ
いま
たのしみたい
感動あたえられるように
アスリートたちが
そう言う言葉
不思議だったけれど…
そう言いたいんだなあ
そのこころの内には
なにがあるのかなあ
と
注意深く
みてあげて話してくれるまで待って
話してくれることはぜんぶ聞いてやると
そのひとは語ってくれたから
ほっとしたんだ
そのうち
自分で自分を
自分からわかってゆくようです…
助言して支える立場の女性だ
あの名言のひとの親友とわかって
とてもうれしかった…
ママのこと
おもってる…夜
ごめんなさいとなって
わびる夜
壊れてしまわないなあ
ひとは…わたしも
ひと?まだ
ママ
おしまいまで
ママだった
なんにも訂正せず
否定しないで聞いた
ママ勘違いいっぱいあったから
それを
うっかり伝えてしまったら
成りすましたんですか?
してならないことですよ
怒った看護師さんいたんだけれども…
成りすますつもりなんてなかったけど
弁明したところでわかってもらえないな
と
その看護師さんの話も
ぜんぶ聞いたんだなあ
介護に
後悔あって
傷ついたひととわかったんだ
なんにもわかんなくなってるようでも
ふと
つながる
有り難い贈り物あると
ママにおしえてもらえた
根気よく
注意深く
それは
いま
自分で自分に言うよ…ママ
ただ
生きてるきり
いのちあるいま
有り難いいま
祈る夜
祈る夜
ありがとう
ごめんなさい
明日が過ぎたら
嵐…
無事
祈ります
祈らせてください
倒れないように
転ばないで
怪我しないで
火の用心と
気をつけて…
無事に
かならず
かならず
無事にいてください
祈るきり
いまきり
ごめんなさい
ありがとう
ごめんなさい
ごめんなさい…
ありがとう
ありがとう
ありがとう
おやすみなさい