シーちゃんには
鳴く機能がついてます
のどをゴロゴロ鳴らすことも
お尻を触られたら
フミャ～！って怒ることもできる
今夜は
気持ちが落ちつかず
シーちゃんを抱きしめて
いつもみたいにニャ～ニャ～！って
鳴いてもらおうとしたら
何でだか
2回小さな声で鳴いて、あとは撫でても鳴かない…
シーちゃんの声は
いちばん最後に飼っていた猫の声に、そっくりで
わたしが
泣けた…
肝臓のドレナージの後、交通した開口部の処置をして
今日終了したミノマイシンが
いつまで効いているかなあ？
とか
この奥に道が、どこまでつながっているのかなあ？
って、考えてたら
ママが、ため息をついた
今日、雪片付けで
ママひとりになる時間があって
もどったら
またあの苦しい、いきみ呼吸が始まってしまった
すぐにベッドの頭を上げて、少し首を傾け
また、例の、フー！フー！だよ、という
呼吸指導？をやる
あの後も、これで治まったりしてはいるものの
確信はなくて、まぐれの連続？と
どこかでは思い…
しかし、苦しんでいるから、必死に
フー！だよ、フー！だよ、を、繰り返す
「フー…」
ママが、自分から、口に出して、フー…って
わたしの真似をした！
そうそう！上手！フー！フー！
しばらくして
いきみ呼吸が、止んだ
ついこないだまで、ほぼ無反応にまで
認知機能が落ちることも多くなっていた
とうとう口から食べるのも終了ということになった
口を開かなくなったし、飲み込みが悪く危険
だけど
最近は、看護師さんも、先生も驚くほど
呼びかけに反応したり、お話したり
何かしらの、体調の変化と思っていたあの呼吸
不安から？精神的なもの？
次の往診で先生に聞いてみよう
何にしても
治まってくれたら、それでいい
ママが
苦しくなければ、それでいい
毎日
わたしが間違っているのかなあ？
って
悲しくなる
毎日
わたしのせいでまわりを不幸にしてしまうのかなあ？
って
ママは
わたしだけのママじゃなくて
ママだって、本当は怖くて、不安で
しあわせじゃないのかもしれないなあ…って
あの呼吸…
否定や
怒りが
苦手過ぎる
逃げた
いつも、逃げて
逃げられないところまでいって
自殺企図のためだけに、生きているみたいな時代もあった
十代で、病気になった
原因不明
電解質のバランスが崩れて、死にかけた
入院中に、塩化カリウムの点滴を
全開して
未遂もした
検査中のアナフィラキシーショツクから
生還したら
ママの顔が見えた
わたし
ママと初めて手をつないだの、二十歳の時だった…
病気のおかげ
ママは長い間、精神的にまいっていたから
赤ちゃん猿の実験を見た
わたしだ…って思った
ワイヤーの母猿人形からおっぱい出て
ぬいぐるみの母猿人形からは、出ない
おっぱい飲んだら
急いで、ぬいぐるみに抱っこ
その赤ちゃん猿は猿同士の関係を、うまく作れない
愛情表現の出来ない猿になったんだって
母親の愛情は
赤ちゃんに不可欠
誰だってわかるさ…
実験なんてしなくたって
おばあちゃんは
わたしにも意地悪したり
後添えさんだったから
さみしかったんだろうけど…
そうやって
考えること
本を読むこと、想像すること
夢見ること
自分の世界を作っていたから
生きていられた
いまも、まだ
人間って
生まれた時は、まっさらで
まっしろで
誰もわるくないんだよね
自分を責めるのも
もう
やめよう…
たったひとり
たったひとりでいいから
こんな気持ち
伝えられる人に
出会いたかったなあ…
いまは、ママが安心して眠って
もうしばらくは、笑ってくれたり
うん、うんしてくれたり
そうして
ゆっくり
眠りながら
天国へゆけるように
それしかない
誰も
わるくない
ねえ？シーちゃん…
明日、忙しいよママ
けど
呼吸が、怪しい…
浣腸！
明日頑張ります！
不安
どこからわいてくる？
生きていくって
つらい
って
言えたらなあ…
泣いてもいいかな？
シーちゃんと…
また、咳が、ぶり返しそう
しっかりしなくちゃ！
だよね
シーちゃん…
…鳴いてくれるかな？
