シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

ごめんなさいありがとうの祈り

ちいさなころから

腺が虚弱で

どこと言うことなく

どっかがなんとなく

よわい子どもだった

 

熱や感染や

傷負け怪我

アレルギー

蜂に刺されたら外科で点滴していた

 

抗えない不運の怪我で頭を縫ったり…

 

とにかく

家族に迷惑かけて育ったとおもう

そうして

いまだに

姉上さまに迷惑かけて生きている

 

お片付けすること

もの捨てすること

それだけが

ちょっぴり

ちょっぴりだけ…

わたしの死後には

ほんのほんのちょっぴりくらい

は…

 

のこされたものへの迷惑が

減ってくれるかなあ?っていう

お片付けもの捨ては少しの希望

 

ごめんなさいありがとうの祈り

 

 

生きる

ごめんなさいありがとうで

なりたっていて

 

祈りは

さらに

ごめんなさいありがとうで

つながってゆく

 

いましかない

危うい綱渡り

祈りと

ごめんなさいありがとうで

いま

 

いま

つながってゆく

正確には

つないでもらっている

 

姉上さまに

ご先祖さまたちに

 

ここから

つながってくれた

仏の

縁に…

 

ありがとう

 

 

今日は朝から寒気がしてた

がたがた震えがきそうでも

病みかけてるのか?

 

ヒーターは

もう点けることできなかった

 

たいせつな

たいせつな日だよ

寒気にだって

起こしてもらえたよ

神仏のお祈りのお仕度した

しっかり

お経おとなえして

お祈りした

 

 

姉上さま

いつだったか

 

あなたが仏さまを拝んでくれてるとおもうと

とても安心するよ

って

そう

言ってくれてたなあ…

 

いつも

迷惑かけてばかり

心配かけてばかり

 

ごめんなさい

ありがとう

 

また

胸いっぱいになってしまったから

 

こころに

ありがとう

いっぱいにして

お仏壇のまえに座って祈る

 

ふらふら寒気がしてたけど

お祈りできたの

ありがたくて

 

泣けた

ごめんなさい

ありがとう…

 

病みかけている?

 

でも

お祈りできたなあ

シーちゃん

って

 

病んで

ほんとうに

壊れてしまったら

 

祈るのも

できなくなる?

体の異変もある

逃げている

 

片付け

終わらせたいのだ

やっぱり

お片付け

死のお片付けなんだなあ…

って

 

怖がり

ぐずぐず優柔不断

いつも姉上さまを心配させてしまったけど

ふたり

ここに暮らせたことは

 

わたしの人生のなかの

たいへんに幸福な記憶だ

 

ささえられて

まもってもらって

ママのお世話させてもらったことも…

 

明日は

ないかも

 

ありがとうを言う

こころに

言っている

 

 

本を分別して

手放しそこねた何冊かが

積まれたままになってる

 

三島由紀夫

一冊あった

 

読んだかさえ?記憶無し

だけど古い本たった一冊

小説について書かれた本だから残ってたんだなあ

本は

その数冊ふくめて残すことにした

 

源氏物語

どんなに読めそうな小説家の現代語訳でも

一冊も

読みきれた試しがなかった

 

三島由紀夫

何度となく読んだけれど

わたしには馴染まなかった

 

 

たとえば

あの

衝撃の終わりが無かったとしても

どこかぎくしゃく馴染まないままだったろうなあ

 

三島由紀夫という

仮の人物がいるみたい?

なんにも

 

どうにも

つかめないかんじ…

 

だめ

さらけ出して

かなしく

おかしく

さらけ出してしまって

 

自分

だけになって

 

自分のこころに

ひたすら正直に

どこまでも

自分を透過させるばかりの

迷路迷宮

 

闇に

はまる

太宰治

 

やっぱり衝撃の終わりだけど…

 

おっかなくも

かなしくもなく

いつまでも作品に

そのままで

生きて

 

古ぼけないままで

生きていて

いま

ともに

生きててくれてるような

 

そんなきもちがしている

 

 

われひとり悪

 

いちにち

いちにち

そのおもいを

 

祈りと

 

ごめんなさいありがとうの祈りと

かみしめて

 

かみしめている

 

こころに

いてくれてる

姉上さまに弟に

 

祈る

 

ただ

無事

祈る

 

 

香は

信心の使い

という

 

お線香を

たいていた

 

無事に…

 

無事に…

 

 

寒気で

おもうようにお片付け

すすめられず…

 

ごめんなさい…

 

 

たいせつないちにちだった今日

お祈りできる

しあわせ

 

どうか

つたない

徳無き祈り

お線香の煙のように

どこまでも

 

どこまでも

仏の功徳を

とどけてくれますように…

 

 

生きている

 

めざめさせてもらって

生きている今日

いま

 

ありがとう

 

迷惑かけて…

心配かけて…

 

ごめんなさい

ありがとう

 

 

ありがとう…

 

 

三島由紀夫

あの日

前日に

 

母親に会いに行ったという

 

母親は

息子の覚悟

決意を

 

なにも聞かなくとも

はっきりと

わかったという

 

だから

なにも告げることもなかったという…

 

三島由紀夫

お浄土にむかえられていたらよいなあ

 

修行しててくれるのならよいなあ…

 

その

たった一冊の本

残った不思議

おもった

 

この本

読める余白

いのちの…

 

つながってくれたら

読もう

っておもった

 

 

 

眠れなかった夜

 

功も

無く

終わる今日

 

ごめんなさい…

 

ありがとう…

 

 

眠れているように

 

倒れていないように

 

祈っています

 

無事に

いちにち

いちにち

無事に

つながってくれること

 

祈っています

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい