静かな部屋
ママの、痰がからんだ咳
大きなあくび
酸素が足りないっ!
って言ってるみたいな…
いきみ呼吸と、痰が頻発して
そのあいまに経腸栄養して
今日はまた寝る前、痰を吸引しないと
その後セファレキシンだ…
ママ
頑張っている
物捨て
まだまだ続いてる
何も考えずに、どさっと捨てた写真
一枚、ひらり、と落ちて
(…ああ!)
って
思わず手に取った
小学校の修学旅行
カメラの方を見て、笑っている女の子
わたしの友だち
親友とは言えなかったけど、仲良し
彼女は
もう天国に行った
自死と聞いて
そうか…と、思ってしまった自分が
まだ記憶にありながら
いまは
きっと違うだろうな、って思っている
とにかく
彼女は天国に行った
その写真を見て
また、そう思った
若くして
天国に行った友だち
お世話になった
命を救ってもらった内科の先生
早くに亡くなる人は
どうしていい人ばかりなんだろう
どうして
もっと、ちゃんと
自分の気持ちを伝えて
大切にできなかったんだろう
自分のことで
いつも精一杯で
いつもただ一方的に
お世話になって、心配してもらって
大切にしてもらっていた
未熟な自分が、本当に悔やまれる
もう
遅い
天国を
信じるしかない
夜は
天国に
少し近い
ずっと
よく眠っていないから
自分が
正常なんだか、変なんだか
生きているのか…?
わかんないみたいな瞬間がある
不眠症の赤ちゃんだった話…
愛する太宰治も
そう言っていた
癇の虫?の薬?
怪しい…
そんなの飲ませる?
ママよ
よっぽど
寝て欲しかったのだな
わからないわけじゃない
いまはわたしが
子守唄を歌ってあげるよ…
ゆりかごのうた
ゆりかごの夢に
黄色い月がかかるよ
ねんねこねんねこ
ねんねこよ
ママが
夢で抱っこする
赤ちゃんのために…
天国の
わたしの
大切な人たちのために
待っていてね
わたしも
眠ろう
シーちゃんと
あなたにも
子守唄…?
あれから
めっちゃハスキー
みがきがかかった…
赤ちゃんの時からなんだって
このハスキーボイス
ねえ?ママ
起こして
お薬です…
おやすみなさい