シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

届け

深呼吸してみた

 

なんだか

段階的に症状が

進んでいるかのような

 

だるさ

息苦しさ

 

めまいと

 

深く

ゆっくり息をしたら

なんと

 

喉が痛い

 

肺いっぱいに

空気を吸い込むと痛い

 

 

あ…

 

パパの胃がん

末期で発見される前に

 

息をしたら喉が痛いんだ

と言っていて

いつもミントの飴を食べるようになってたな

 

がんは

胃から

食道まで転移してた…

 

恐ろしい記憶

復活した

 

 

一個

思い出すと

 

ずるずると

苦しみに吐き出された大量の言葉や

それを受け止めようとして

必死にもがいてた

あの時のわたしが

 

目の前に現れる

 

 

居間を片付けて

唐塗りの座卓を大きな文机のように

壁に向けて置いて

真正面には

 

パパママの遺影の写真を

二人並べて小さな額に入れて飾った

 

わたしが何かの作業をするのを

二人いっしょに笑って見つめている

 

いつも

見てもらっている

眠る時も

 

ママと二人暮らした居間に

まだ寝起きしていて

 

もさもさと

 

後始末のような

現実逃避のような

 

そんな時間に

耐えている…

あがいている

 

弱いな

弱くなった…

 

 

八月六日

 

日々は

弱さゆえの

祈りの毎日だ

 

 

届け…

 

アインシュタインは研究所で

研究に行き詰まると

バイオリンを弾いていたという

平和なエピソード

 

世の中に

貢献するための研究だったはずだろう

 

 

たくさんのわからないこと

先の見えないこと

とりまかれて

生きている

いま

 

ひとり

逃げ込んで

 

あがいてる

 

 

困っていない人は

誰も助けてあげられないんだって

シーちゃん

 

 

声を聴きたい

 

大切な言葉を

祈りを

 

そうして

 

届くように…

 

 

ママの介護

姉上さまが

 

あなたが少しでも

ママの犠牲になってると思うのなら

介護なんてやめてしまいなさい

と言っていた

 

 

わたしが投げ出せる

大切なものは

 

このわたし

この身ひとつしかなかった

 

 

人生に

一度きり

我が身を投げ出して

 

生きていることを

 

いのちを

もらって

ここにあることを

 

わたしを生んでくれた

ママと

最後

いっしょにいることで

 

確かめ

ママのいのちを

見たかったな

 

 

はかなくて

むなしくて

 

こころもとなくて

 

それは

いまも

まだつづいているけれど…

 

何にも役立たないけれど

せめて

 

大切なものを

投げ出して

闘ってくれている人たちのために

祈ろう

 

 

暑い暑い一日

 

 

ママが施設で使っていた

タオルなどを何度も洗って清潔にした

憐れで

捨てられず

 

最後はインフルエンザが蔓延していて

お洗濯してもらっていたので

 

かなしい匂いがする…

明日

もう一度洗うよ

 

 

明日を

信じるよ

 

 

   むなしくて

   ココア立て続けに飲みて

   喉首詰まる

   八月六日

 

 

今日の短歌です…ありがとう

 

おもいを

届けられるほどの

知性も能力も

つよさも

足らず

 

あがいています…

 

 

今日がまた終わる

無事に

おだやかにいてくれること

祈っています

 

信じたほうへ

平和へ

向かってゆけるように…

 

祈ろう

 

 

ありがとう

 

お元気にいて…

 

 

また

明日

 

おやすみなさい