シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

解く

ということ

 

答え

みつける

ってのも

そうだけど…

 

ほどく

解く

 

まちがえたテグス

解いて

 

おばあちゃんの

大のお気に入りだった

布も溶けそうな

細帯を

解いて…

 

 

ただ

ただ

泣けてしまった…

 

ありがとう

ありがとう

って

泣いた

 

ありがたくて

あふれる涙だ

シーちゃん

 

おばあちゃん

ママ

天国のひとたち

 

ありがとう

 

 

 

たった

ひとつ…

 

 

今生の我が身

二つ無し三つ無し

 

 

いま

しか

生は

みえない…

 

できること

限られる

 

 

たいせつなことは

いつも

言葉にならない…

 

言葉の

 

言の葉の

その

外だ

 

ああ

 

道元さまの道歌

おもい

 

こころ

 

言葉にならないこと

 

水のような

海のような…

 

 

泣いて

涙が

一滴

落ちて

 

泣いてるうちに

わたし

一滴

なって

 

細帯に

すいこまれたか?

おもった

 

 

 

ママの

言葉にならないこと

細帯に

祈りとともに

縫い込まれて

あった…

 

 

お釈迦さま

すべてのひと

救うために

仏となった

 

阿弥陀さまも…

 

 

まちがいから

ひきかえした

蜘蛛の糸のようなテグスに

無心になって

 

ああ!

そうだった…

はっきりと

わかったことがあった

 

あの

若く

うつくしいまま

天国へと

旅立った友は

 

あの子は…

 

かならず

かならず

仏となっている

って

伝わった

おもえた

 

修行してくれてるんだなあ

わかった

 

おもいかえせば…

 

 

わたし

励ましてもらった

そう

感ずること

できたのは

あの友の

おもい

 

 

言葉にならない

おもい…

 

じっと

見つめてくれた

茶色い瞳の

奥の

奥の

おもいが

 

かがやいて

伝わってくれた

 

 

こころ

そのもの

だったんだ…

わかった

 

 

自ら

いのち

ないがしろには

するはずもなかった…

って…

 

ごめんね…

心配してしまってた

って…

 

おばあちゃんに

家族に

わたしに

 

隣に

いつも

いてくれた

菩薩のような

ママも

 

あの子も…

 

友たちも

 

いまも

ここに

 

こころに

いてくれてるんだ

って

 

泣いて

祈って

 

泣いて

 

細帯

解いては

 

泣いてた

 

 

へとへとになった

 

夜まで

お茶やココアやヨーグルト

だけで!

 

どれも

プロテインみたいに?

きな粉まみれ

なんだけど…

 

くたくた

よれよれ

夕方には皮膚

ぴりぴりして…

 

不気味なかんじになったので

 

クエン酸

炭酸水素ナトリウム

つまりは

重曹

なんだけど

 

冷たい水に溶いて

新生姜のりんご酢漬けの

うすももいろの汁も加え

 

しゅわっしゅわっ!!の

炭酸水つくって

台所で

一気に飲んで

 

起死回生した

 

クエン酸

日本薬局方のなんだけど

賞味期限

めちゃくちゃ切れている!

なんと!

5年??

 

ぜんぜん

気にしないやつ…

 

きっと

笑ってくれてるなあ

 

きっと

あの

笑顔で

あの

かわいい声で

と…

 

おいしいね!

って

あの子に

言って

 

ありがとう

お数珠つなげたよ

って

祈った

 

 

 

祈り

とどくように

 

ただ

ただ

彼女を

ママを

 

天国のひとたちを

こころ

ぜんたい

いっぱい!

おもった…

 

 

ママは

しあわせだった

 

おばあちゃんの

いちばんの

大好きなひとは

 

さいごは

おしまいは

ママだったな

おもってたけど

 

ずっと

ずっと!

ママ!!

だったんだ…

 

今日

解いた細帯が

伝えてくれたのだった

 

 

紫陽花いろの

絞りの着物地

傷んでいない部分を利用して

弱ったところには

裏打ちを縫い付け

 

丁寧に

細帯にしてあげたのは

ママだったんだ…

 

芯地には

パパに使ったネル代用して

はぎあわせてあり

洋服用の接着芯で

 

しっかり

はなれないように…

 

しっとり

しめやすいように…

 

ひと針

ひと針

こまかく

丹念に

縫いあげた

ママ

 

その

おもい

伝わった…

 

おばあちゃん

いつも

いつも

 

この

紫陽花いろの

この細帯

ばっかり!

しめてた

 

 

ママ…

 

 

さかしく

ひかえめな

ママみたい

ママの細帯

 

 

ママの

祈り…

 

 

ありがとう

 

 

平和

かなうように

祈ろう

 

こわい

こわい

怒りは

 

溶けてくれるように…

 

言の葉

 

 

祈り

とどくように…

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

みていて…

 

祈って

ここに

 

かなしいひとに

くるしいひとに

共に

いてあげて…

祈る

 

無く

 

夜…

 

 

ちっぽけな祈り

捧げられた

 

ありがとう…

 

 

こわくなって…

 

こわくなって

 

たちつくす

こころ…

 

言葉にならないこと

ばかり

こころに

わいては

 

ながれる

 

 

混沌の

古いお家が

かなしくて…

 

けれど

ちょっぴり

ちょっぴり

 

きよらかな

空間となってくれてる

 

まだまだ

うつろな

chaosの部屋

物置部屋

あるけれども…

 

亡霊は

すでに

いない

 

もとから!

いない

そもそも

 

みえる力も

与えられていなかった…

 

 

ありがとう

 

また

泣いた

 

 

へとへとだ

ばか…

 

 

こわくても

 

たちつくしても

生きてる

 

生きてる

今日

いま

 

 

ありがとう…

 

 

なんでも食べて

お水も飲んで

倒れないように…

 

無事に

 

かならず

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

また

明日

 

 

おやすみなさい