シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

よわさ

丸二日

とりつかれたように

動き歩き追い込んで

 

当然

極度の疲労

アドレナリン噴出の先の

沈み込み

筋肉痛

 

睡魔

やってきた

 

よわい…

シーちゃん

 

 

追い込み

引き金は

メール

 

古いパソコンに

ひっそり眠っているメール

姉上さまがわたしに送った

何通かのメールだ

 

これらを

一度は削除して

 

消してしまえず

 

いまだに残っている

 

読みかえしてしまった

 

 

読んで

その時のわたしを

わたしはけっして

忘れることはなく

 

その時の

極限のわたしも

いまのわたしも

 

一寸たがわず

おんなじわたしだ

確認した

 

その時のわたしは

 

以外考えるのが難しくなった

 

死のう

というおもいにとりつかれた

 

しかし

 

死ぬわけにはいかない

生活を維持しなくてはならない

そのくらいの

理性は働いた

それでも

 

死に

とりつかれた

 

どうしたかというと

 

生きながら

仏になろう

 

祈った

 

祈って

祈って

 

覚醒している時間

すべて

祈りとなった

労働も雑事も生活も

すべては祈りとなった

 

祈りと

生き長らえるだけのぎりぎりの食事

動けるだけ動きつくす限界までの活動

 

小鳥のようなご飯

最初は痩せ

次第に

維持できるようになった

 

徐々に

脂肪が回復してゆく

ヒトの能力恒常性を知った

 

死にたい

 

死にたくない

 

生きたい

生きたいんだ…

と知った

 

 

 

わたしはよわい

とおもった

 

わたしはよわさを

知っているつもりだった

そんなよわさを

 

受け止めてもらえる余地は

どこにも

なかった

 

ママの病

認知症

パパの末期がんの発覚

 

これまで

わたしのよわさを

受け止めてくれた存在を

失ったのだ

とおもった

 

 

あなたの不安定を

受け入れる余裕はない

その時

には

かならず呼ぶから…

 

そんな風に結ばれたメール

そこに至るまでの文言は

 

捨てなくては

変えなくては

 

もどらなくてはならないわたし

のようにおもわれた

 

あなたは昔は

そうではなかった

 

 

いまのわたし

では

お荷物

 

厄介者

 

いらないもの

だったのだから

 

 

ひたすら

祈ること

 

即身成仏のごとくに

身を削り

覚醒して

 

生活を

祈りにして

生きのびた

 

 

寄り添うことは

自分で

投げ出したことだから

 

追い込まれて

 

追いつめられていた

 

逃げたのは

このわたしだから

 

否定されたわたしを

逃げた

けれど

わたしはわたしを

生きる他に

 

生きる道はなかった

 

 

かなわないなら

この身を

尽くそうというおもいだった

そうして

 

じわりじわりと

死んでゆこう

という選択とは

 

生きたい

生きてゆきたい

 

生きていてほしい

 

生きていってほしい

 

という

悲願と知った

 

 

パパママ

天国へゆく

 

 

その道のりに

死に向かうということだけが

わかっていることで

 

生はつづいている

おしまいの

一瞬まで

 

人は生きる

ということを

 

信じてやれぬ

見守ってやれぬ

わたしのよわさ

 

 

最後は

 

ゆるしを得て

寄り添うこと

かなえてもらった

 

 

ばっさり

否定される

よわさ

 

 

よわさから

祈りを得た

 

祈りから

生きることをつないだ

 

 

生きていること

よわくとも

生きること

 

そこから

何かしら

ちからを得ること

 

よわくて

あわて

嘆いて

 

泣きながら

 

見かねた

やさしい人に

救い上げられ

 

それを

支えとして

 

ママを

お家に連れて帰り

 

ママは

天国へと旅立った

 

ありがとう…

 

 

 

生きなくてはならない

とは

このような

 

迷って

地団駄踏み

 

追い込んで

埋没してゆくような

よわさとでも

生きなくてはならない

 

何があろうと

かならず

 

生きなくてはならない

ということなんだ

と知った

 

 

人が人を裁くのではない

わたしが

好き勝手に

生まれたわけでもない

 

好き勝手に

死んでよいはずがない

 

限りあるいのちが

重いから

苦しい

 

いのちが

重くなければ

 

苦しくないなら

必死に生きようとしないんだろう

 

限りがある

老死が

 

いまを

生きさせ

ありがたいものにするんだろう

 

たとえ

誰ひとりに

認められず

望まれなくとも

 

願われなくとも

 

生きることを求められている

いのち

 

よわくて

つよい

いのち

 

つよくて

 

また

よわい

よわい

いのち

よわいわたし

 

 

孤独を生きよう

 

よわさと生きよう

 

 

たどりつけるところまで

生きよう

 

 

よわってた筋肉

お休みしたら

きっと

明日は

大きく

太くなってくれる

 

どんな自分でも

生きてゆこう

 

 

メールは

消さないよ…

 

メールじゃない

会話がよかったけど

 

姉上さまは

忙しい

この先も

 

お話できる人

姉上さまだけ

なんだけれど

 

お話

ゆっくりできること

もう

ないかもしれないなあ

 

明日は

もう

ないかもしれないから…

 

 

 

よわくて

貧しい

 

助けてもらってるお金を

残したなら

それで姉上さまが

供養してくれるらしい…

 

 

ガラケー

終了したら

もういらないかなあ…

って

 

嫌がらせ??

ってくらい

姉上さまに

たくさんメールしてみた

 

本体は

パパがお金を出したんだって

 

取っとこう…

古いパソコンの

あのメールといっしょに

 

 

 

慳貪を

捨て去るために

片付けしよう

 

孤独を友に

 

身軽になろう

 

 

今日は

もう休もう…

 

ありがとう

 

生きていてほしい

無事に

 

できるならば

幸福に

 

笑っていてほしい

 

わたしの

しあわせとします

 

祈ります

 

 

 

ありがとう

 

また

明日

 

おやすみなさい