シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

たとえ

つぼみ

 

あかい

つぼみ

 

薄っぺらな

いかにも

よわよわしい葉の

根っこに

 

しがみつくみたいにしてた

つぼみ

 

すこし

大きくなったように見える

 

そこに

 

 

雪が降った…

 

 

 

お日さまには

あててあげられないなあ…

 

凍える

 

凍る…?

シーちゃん

 

夜は

 

仏間に

避難させた

 

午前中に

工夫して

ビニールハウスのように囲って

 

すこしだけ

あかるいところに置いてみた

 

寒いかなあ?

寒いよなあ…

気が気でなく…

 

 

夜になって

 

つぼみ

 

かわいい!

 

たとえ

咲くこと

できないまんまでも

 

つぼみ

ちいちゃな

つぼみ

 

出てきてくれて…

それだけで

 

かわいくて

うれしくて

 

しあわせ…

ながめた

 

 

どきどきして…

 

うれしくて…

 

ほんとうに

かわいらしい

 

 

お花ちゃん

すでに

こんなに

よわよわしいのに

 

お花ちゃん

いちにち

いちにち

一所懸命に

 

わたしの

知らないところで

 

気づいてもいないときにも…

 

一所懸命に

生きててくれて

 

つぼみ

つけてくれてた

 

 

それだけで

 

泣けるほど

うれしくて…

 

あんまり

うれしくて

 

泣いてしまったし…

 

 

ありがとう

お花ちゃん

 

お世話

へたくそすぎて

苦労かけていて

ごめんね…

って

 

仏間に

ふたり

お花ちゃんと

ふたり?

 

いっしょにいた

 

ああ

祈ってくれてるなあ…

おもった

 

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

 

ママが

おしまいの病で

病院から

帰って

 

まもなく

満開に

咲いてくれたもんねえ…

 

ありがとうねえ…

 

とか

 

話しかけてる…

 

 

生きているからには

やがては

 

わかっている…

 

この

寒さのなかに

けなげにも

つぼみ

つけてくれて

 

ありがとう…

 

 

一所懸命

生きてるなあ…

お花ちゃん

 

この

いまの

かわいらしい姿

 

ちいちゃな

あかい

つぼみ

 

かわいいよ…

ありがとう

って

 

何度も

 

何度も

ずっと

見ながら

 

ずっと

仏間にいた

 

 

 

寒い夜…

 

 

どうか

倒れていませんように…

 

一日が

無事に

おだやかに

終わっていますように

 

 

かならず

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい