シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

しのびない

裏の

白い紙

 

チラシ

カレンダー

 

短冊に

切って

 

短歌

おもいつくまま

書き

 

書いて

捨てる

ずっとしていた

 

これも

 

過去形

 

それら紙

捨てよう

鋏を持つも

 

感覚が消え…

 

マイナス10℃あたり

つづいてた昨年でも

 

こんなこと

なかったなあ

って

 

途中で断念した

 

紙始末のたびに

胸に

わきおこる波が

 

ひいてくれるの

しばらく

待ってた

 

 

自分の日記は

こんな風にして

夜を徹して

切り刻んで

捨ててしまった

もう

ずいぶんまえだ

 

生きていてくれたころだよ

シーちゃん

 

後片付けしてて

 

 

そういえば

パパ

こういう

日記やメモ

紙類は

 

すべて

処分していたんだ…

って

 

お片付け

 

死の

お片付け

 

していたんだ…

 

いま

気づく

愚か

 

わっ

涙があふれて…

 

 

お経

お祈り

あとで…

 

ずっと

 

ずっと

 

お仏壇のまえに

正座して

 

お祈りしていた

 

 

消えかけてるらしい筋

体力

いちばんは

 

こころ

 

 

もの始末は

 

しのびない…

 

捨てるに

しのびない

 

まだまだ

無用のもの

そのままは

つかえないもの

ばかりで

 

なのに

せつなくて

 

ただ

せつなくて

 

洗って

洗って

洗っていたんだけど

 

もう

うっすら

というのか

 

はっきり

無駄な

あがき

徒労くりかえしているうち

 

お片付け

できる

こころで

なくなってきたのだなあ…

 

とにかく

いちばんの冷え込みの

今日

 

生きてる…

 

 

ありがたい…

 

ありがとう

 

祈っていた

 

 

被災地も

同様に

冷えて…

 

もうしわけないような

 

いたたまれない

おもい

 

すべて

 

すべて

 

正座して

姿勢

ただしく

 

お仏壇に

座っていた

 

祈っていた

 

どうか

すこし

寒気がゆるむよう…

 

 

 

のこされた者には…

捨てられない

 

捨てるに

しのびない

 

そういうもの

だけは

こつこつ

捨ててくれていた

パパ

 

わたし

パパ似だ…

 

うれしいよ

ありがとう

 

泣けた…

 

 

 

なにか

役にたたないものか…

 

残したもの

ひとつ

でも

 

いま

つかえるものに

できたならば

 

きもち

すこし

やわらぐ…

 

 

ママの

冬の靴下

もこもこ靴下

 

ずっと

履いてて

 

とうとう

かかとが

薄くなって

とけてしまってた

 

切って

 

ちくちく手縫いで

みじかい筒にして

 

足首

あっためるようにした

 

ママの

日記

そっくり

取ってある

 

 

心情

吐露

 

ほんの

ときどき…

 

かなしみ

あふれて

 

あふれてしまったときに

 

ほんの

一行

 

おしまいに

そえてある…

 

 

そうして

ここにきて

気づいたのは

 

すこしずつ

妄想

のような…

 

 

なにか

にわかに

信じがたい事柄を

 

唐突に

 

たのしそうに…

話しはじめてたなあ

という…

 

 

わたし

 

きいて

 

信じて…

 

おもわず

 

つたえてしまったひと

いたけれども…

 

あれ

妄想…

 

これも

 

いまか…

 

って

 

 

自分の

愚かさ

知らされて

 

知らされつづけてゆくみたいな…

 

 

もの始末

って

 

こういうことなんだなあ…

 

って

 

 

いまは

 

むしろ

ちかく

 

ともにいてくれる

おもえる

 

パパ

ママ

 

えらかったなあ

 

がんばってくれたなあ…

 

祈っていた

 

ありがとう

 

 

姉上さまにも…

 

 

生きてる報告

 

ただ

 

ありがとう

 

それだけ…

 

 

ありがとう

 

 

 

 

生きていてください…

 

祈る

 

冷え込み

やわらぎ

 

凍える夜

はやく

 

はやく

明けるように

 

 

祈ります

 

 

 

 

 

倒れていないように…

 

かならず

かならず

無事にいてください

 

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい