シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

呼んでほしい

 

目覚めれば「ママー!」

蒸しタオルでお顔拭きで「ママー!」

お口ケアで「ママー!」

 

栄養も処置も、お着替えも

お肌のケア、爪切り、体位変換

腕と足の曲げ伸ばし

ベッドの上に引きずり上げる荒業?手技も

 

みんな、みんな

 

言葉の始めは「ママー!」で始まる

「ママー!おはよう!朝になったよー!」

「ママー!お顔拭くよー!あったかいよー!」

 

という具合

 

ママがしゃべる、ほんの一握りの言葉

わたしが『わたし言葉』って言ってる

わたしがしゃべる言葉を

 

真似したり

変換したりしている

と、思ってたけど…

 

ママが「ママ」と

自分で言うことは、一度もないんだな…

って

今さら気づいた

 

ママー!は、ママ、自分のことって

ママー!って

わたしに呼ばれてるって

ちゃんと、わかっているんだね…

 

呼んでるよ…

呼ぶよ、毎日何度でも

いつも

いつだって

 

いつまでだって…

 

わたし

パパのことも、毎日呼んでる

 

仏壇の前だけじゃなく

いつも

どこでも呼ぶ

 

迷ったら聞く

「ひゃあ~っ!パパどうする??」

うれしかったら

「パパ!ありがとう!」って言う

毎日何度でも

いつも

いつでも、きっと

わたしが生きてる限り…

 

 

人が天国へゆく

って

 

そういうことみたい

ぐっと

近くなること

 

生きてた時には遠くにいても

天国は

ぐっと近づいて、いつもそばにいる

 

ここにいてくれる…

 

だから…

大好きな人たち

たくさん天国にいて

 

きっと

隣にもいてくれて

なのに

 

わたし

時々知らんぷりしているんだろうなあ…

と思った

 

さみしいなんて

思う時は…

 

 

パパはあだ名つける名人

わたしの名前も

出世魚みたいに、いっぱい変わった!

 

最後は、ふたつ

へんてこなあだ名に

ちゃんづけ

 

パパがつけてくれたわたしの名前

そのままで、ちゃんは無し

で、使い分ける

 

おふざけは

あだ名

真剣なら

正しい名前

 

自分の名前は好き

名前

まんま

わたしを作ったんだなあ…って

由来はどうあれ

わたしらしいわたしの名前

 

訓読みだって、わたしって思えて

不思議

名前って

 

今わたしは

『娘さん』って呼ばれてる

ママの、娘ってこと

 

わたしの名前を呼んでくれる人は

食品の宅配のやさしい方、ひとりだけ!

とても清楚で、きれいな女性なのだ

名前で呼んでくれるの

やさしいね…

 

 

名前

呼んでほしいな…

 

 

『なまえのないねこ』

 

読んだよ…

 

おおよそ予想してたストーリーだけど

わたし

猫を拾う人だからね

 

 

わたしも

どこかの野良猫みたいに

 

なまえのないねこ、なのかも

メロンみたいに

 

名前を呼んでくれる人を

探しているかなあ…

 

人間は

むつかしいね

捨て猫や野良猫ほどは

過酷じゃないんだけど

 

ひとりで生きてける人間なんて

 

ひとりもいないんだけど

 

むつかしいよ…

 

悩む

シーちゃんと…

 

 

そういえば

シー…って

 

しっ!

と、ぜんっぜん違うでしょ?

シー…って

やさしいよね

 

人差し指をぴん!

お口にくっつけて…

 

シー……

 

鳴くからね

シーちゃんは…

(スイッチは切りたくないよ…)

 

 

コロナウイルスはまだ

ここにきてないよ!だいじょぶ!!

いつもの根拠無い自信、満々に

ママと病院行って来た

 

おNEWの栄養のチューブ!

また、次の3ヵ月まで

きれいに

詰まらせないように…

 

病棟の看護師さんに会った

無事に生存!二人で元気!って伝えた

 

 

娘さんを卒業する時は…

 

考えたら

また

泣けて来たから

 

笑って振りきった!

泣いてられない!

 

いつか

名前

呼んでもらいたい

 

天国かなあ?

 

 

メロン

っていい名前だね

 

ねえ

シーちゃん

 

これから

ちょっと片付け

 

ママ頑張った

 

ありがとう

 

 

大切な人いたら

いっぱい

呼んであげてね

 

 

おやすみなさい