シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

うーん!そっか!!

初めに

言葉ありき

 

染み込む言葉

ささくれる言葉

 

言葉に

その人が映る

言葉に

秘めたおもいが

滲む

 

言葉って大切

 

でも

気をつけないと

 

言葉は時に

罪深い…

 

キレちゃ

駄目…

 

 

昨日は

熱に夢うつつのママ

真夜中

こそこそ検温していたわたしに

目をつぶったまま

 

おねがいします…

 

と言う

きっと看護師さんと勘違い

 

はい…おねがいします…

 

と答えて検温し、体位変換

 

まるで

病棟にいるみたいだね

まだ覚えているのかなあ?

 

楽しかったもんね

会いたいね…

 

 

「えっ?どうしてそんなことしたの?」

 

小さなカンファレンスルームに

その方の声が響くと

(ああ、そっか、そうくるか…)

と、少しだけ驚いた

 

何を

どうして?と、問われたかというと

 

以前の入院で、急速に認知機能が衰えたママが

わたしを忘れ

毎日わたしがひとりで面会に行くと

わたしを姉上様と思い

姉上様関連の話題を、さかんに引き出すようになった

それは、いつになく饒舌で

必死な様子に思えた

 

うーん!そっか、そっか

そうだっけ!

 

あんまりよくわからない内容もあったけど

わたしはママの言うこと全部

丁寧に

そうだったね、そうだね、といつもの笑顔で

逐一肯定しながら聞いた

ママは、ほっとした顔になり

とても満足そうだった

 

わたしを忘れたが、どこかで消え残り、くすぶり

姉上様と思いつつ、確証なく

不安で

必死の取り繕いをしたのだろう

そんな状況は、しばらくつづいた

 

その声の主がどうして?と聞いたのは

その一連の『なりすまし』

とも言える

わたしの行動

 

そんなこと、する必要ないの!

と言う

 

勘違いされたまま、姉上様の振りをしたことは

全くもって、故意ではない

 

わたしはママを、もう一切否定しない

と決めていたため

自然にそうなった

時おり

わたしらしき話もまじるが

それも隔てなく

ああ、そうだったねえ!と

笑って聞いた

 

否定し訂正したところで、混乱して

記憶を振り返ろうとしても、振り返れず

整理して引き出す力は、ママにはもうない

と、わかっていた

 

とにかく一生懸命に聞きつづけた

しばらく

わたしはママにとって

姉上様らしき人間、か

誰かははっきりしないが

どうやら他人ではないらしい近しい子ども

を、行ったり来たりしていたのだ

 

姉上様のことも

確実に認識できているとは言えない

間違うとは、そういうこと

 

もう

とにかく聞いてあげよう!

 

うーん!えーっ?

そっか!!

って

そう決心したんだ

 

その方に話してしまったこと

その時は

猛烈に後悔したんだけど…

 

看取り介護生活が始まってからは

 

その方に感謝しているんだ

わたし…

 

救われる言葉を

たくさんもらってた

 

何度も思い返している

 

言葉

に、救われるの

ひとり

まごまごして

うろちょろして

ぱたぱたして毎日瞬間みたいで…

 

入院で 

いちばん助けてもらったのは

先生

とにかくやさしいから

言葉もやさしい

あったかい!

 

白衣高血圧で

高圧的お医者の前に出ると

倒れそうになるのは…

 

かつて入院して逃げ出した病院の

エライ先生が

地獄だったから

入院した時、まだ十代で

本気で

殺される、と思った

 

人間を人間と思わず

何様かという滑稽さで

病院っていう小さい箱?に

君臨している

薬も処置も的外れ?で

 

症状の違う何人かの患者さんが

みんな同じ処方されてて

どんどん衰弱して行く人もいた

ママと逃げた…

 

ママはしあわせ

やさしい先生が主治医で

すっかり安心してたね

 

ちゃんとやって

 

なんて

わたしに言ってること

先生にも命令…

(おいおい…)

 

 

お医者に

ちゃんとかかる

努力するよ、これからは…

ってくらい

わたしもなついて…(スミマセン)

 

いろいろ相談できて

 

ここにいる

 

介護や看取り

果てしないことに思うなら

そうじゃないよ

みんなおんなじ

栄養取って眠って

生きてる

おんなじ

 

もう

ここから、ママは

回復して行くのは無理だけど

生きてる、精一杯

 

今日は

 

ありがとう

さっぱりする

 

なんて言えたよ

すごいね…

熱のクーリングの時

 

 

明日は外来

チューブの交換

まだ準備これから…

コロナウイルス怖れても

生きるため

 

なるようになる!

 

最後まで

 

うーん!そっか!!

ありがとう!!

って

笑うね

 

いつもいつも

笑ってるからね

 

今日は

夜もクーリング

カロナールあるし

 

だいじょぶ!

 

眠いよ…

わたし、頑張れ

明日は今日より早起きだよ…

 

 

モーロー…と

してるし

 

 

とにかく

眠ろう

シーちゃんと

 

明日

いいことありますように!

 

 

おやすみなさい…