シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

孝行

しもやけ

腫れで

 

それ

さらに

 

割れて

血が出て

 

がさがさ

かさぶた

別物で

 

ひび

あかぎれ

って

 

はじめて

わかった

 

握れなくなってて

何に触れても痛い

 

 

オイルも

塗ってもらえてない

あわれな手

みてた

 

オイル

塗らないのは…

 

わたしなんだけど…

 

 

弥三郎節

っていう

こちらの民謡あって

 

手にあぶらコもつけさせね

 

って

唄の文句あって…

 

ママに

うっかり

唄ってあげたこと

 

いまも

ごめんなさい…って

 

謝っている

 

 

若き日のママ

おばあちゃんに

苛められてたんだっけなあ

シーちゃん

って

 

ごめんなさい

また

お祈りしてた

 

なんとか

うたえる民謡を

おもいつくまま

唄っていたら

 

おもわず

弥三郎節になっていて

 

それ

きいたママ

 

急に

呼吸

荒くなって…

 

一気に

体調が

おかしくなってしまったのだった

 

あのときも

いまみたい

こころぼそい

泣きたいみたいきもち

 

ずっと

つづいたっけなあ

って

 

 

なんにも

なんにも

ひとつも

できそうもない手

 

しばらく

すこし

乾かしてあげよう

 

姉上さまの

大昔の毛糸

掘り起こし

 

零下の真冬

二度こえたんだから

 

ダニ…

もう

死滅?したよねえ??

 

ちょっぴり

ほんの

ちょっぴり

 

どきどき

びくびく…

お仏壇のまえ

正座して

編んだ

 

ダニは

死んだのちも

死骸がアレルゲンになる

という

確認…

 

顔の

いちばんよわい口まわり

ぴりぴり

もうれつに

乾燥してきて

 

やめた…

 

 

捨てても

よいのに

 

捨てたら

よいのに…

 

もう

ほとんど

そういうもの

 

ばっかり…

 

ふかく

息した

 

もの

重たかったねえ…

って

 

パパに

ママに

 

姉上さまに

言ってた

 

捨てて

ごめんなさい…

って

 

 

 

照ノ富士さんが

本割も

決定戦も制して

優勝してくれてた

 

いつも

 

こころがつよい横綱

 

そう

くりかえし

評されているけれど

 

やさしいひと

って

おもう

 

まっすぐ

ひたむき

 

孝行な

 

すべてに

孝行なひと

って

おもう

 

こないだ

格下に

熱くなってしまったこと

 

すぐに

猛省し

 

恥ずかしい

 

しょんぼり

こたえてた…

 

 

 

困難に

 

痛みに

苦しみに

 

ひたすら

無心になろうと

努力してくれたんだなあ

 

手放し

捨ててゆくしか

しようのないもの

たくさん

 

たくさん

あったんだろうなあ…

 

 

よかったねえ…

パパ

って

 

お祈りする

 

 

 

いつまでも

どこまでも…

 

孝行

できず…

 

ほんとう

罰当たり…

 

ごめんなさい

 

恥じる

 

ごめんなさい…

 

いっぱい

いっぱい

 

いつまでも

 

どこまでも

 

ありがとう

祈ろう…

 

祈る

こころ

 

ありがとう

祈る

 

 

 

雨の音…

 

朝は

晴れて

 

ひさしぶりに

パパのシャコバサボテン

お日さま

当てて

 

生きていてくれた…

って

 

泣けた

 

 

弱虫

泣き虫

 

かろうじて

生きてこられたのは

 

祈る

こころ

 

祈って

最後の砦に

なってくれて

 

ずっと

 

ずっと

やさしく

みまもってくれた

パパママ

みたいに

いっしょに

いてくれた

姉上さま

 

その

おかげ

って…

 

ごめんなさい

 

ありがとう

祈っていた

 

 

 

いっしょに

 

泣いてくれてる?

 

ちょっと

かなしい

 

真冬の

 

ありがとう…

 

ない

さいわい

 

でも…

雪が

生業のひと

たいへんだなあ

って

 

また

 

しんみりした…

 

 

生きて

ある

いま

 

ただ

ありがとうだなあ

 

 

ありがとう…

 

 

無事

祈っています

 

大事

なく

無事に

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい