ちりん
と
おりんの音
一度
きこえた
離れたとこにいて…
まったく
霊感ない
ああ…
空耳
と
おもった
眠れてないからなあ
って
眠ろう
眠りたい
眠らなくては…
シーちゃんってなってて
眠れるように精一杯
動かなくちゃ…って
体力うせてる
気力きもちも
それに
くっついてゆく…
朝
うとうとしたら
ママが
おばあちゃんが
面倒みてくれてた
キジとらの猫の夢みた
まだ生まれたての
子猫の姿だった
目をあけて
ただ胸元で
抱っこしてきてた
夢みたよ…
すこし
ふかく眠れたんだ…
ありがとう
って
起きようとしたのに
横になって
お布団のなかでも
寒くなって
寒くなって
かなしくて
目もあけたくなくなって
しばらく
そのまま
ごめんなさい…
ごめんなさい…
と
お経おとなえした
パパ
旅立ちのまえ
お経おとなえしてるみたいな
うわごと
ずうっと
つづいた
姉上さま
お経みたいだね…
って
その言葉にわたし
なんとこたえたか
忘れてしまった…
インドのお経はこんなかなあ?とか
おもってたから…うれしかったんだけど
姉上さまの言葉
ただ
うれしくて
いっしょにいてくれて
ほんとう
うれしくて…
へとへとのよれよれの弱虫のわたし
椅子にかけながら
眠りかけてしまう…
というそのときだった
姉上さま
パパの呼吸音の変化
ききわけていてくれて…
起こしてくれて
パパがまだ
旅立ちのまえ
まにあって
姉上さまとわたしと
ふたり
一所懸命
パパに
しっかり
声をかけられた…
姉上さまの言葉は
よみがえるけど
わたしなにを
つたえたかなあ…
猫だいすきな
パパ
おもって
ごめんなさい…ってなって
起きられた
しばらくして
パパ
天国に
涅槃に
お浄土にいてくれてるなあ
と
おもってた
ごめんなさい…
ありがとう…
なにひとつ
しっかりと考えられてないって
はっきり
わかった
起きたあとの今日の
徒労によって
知らされた
あんまり
おろかで…
もう
ここまでみたいな
ありんこや
はちどりのようにして
体力気力にものをいわせて
まるで永遠のいのちみたいにして…
そんなこと
かなえてもらえること
もう無いんだなあ…って知らされた
はじめるまえから
わかってることだったなあ
って
まったく
まともに
考えられてない
ということだ
どこにもゆけず
なんにもできない
死のお片付けも…
生きてる…
生きて
めざめさせてもらった
ありがとう
と
きりあげて
あとしまつしてたとき
ちりん…
おりんの音…
耳鳴りのせい
空耳なんだけど…
わかってるんだけど
ありがとう
って
お仏壇のまえ
すわって
お祈りした
戦争が終わりますように
世界が平和になりますように
輪廻
輪廻転生って
因縁
たちきられず
解脱
かなえられることなく
ずっと
ずっと
悪業つなげたまま
くりかえし
悪業と
ずっと
生きる
生
つなげてしまうこと
死のお片付け
不安
恐怖
生きたい
という本能だけど
やりとげたい
は
執着
こわさも
生きたい
生きたくて
生きたくて…
死へ
いちにち
むかってる
死なねばならない
ひと
病も
死も
かならず
ゆく道
ごめんなさい…
ごめんなさい…
まことの
こころ…
ごめんなさい…
ここまで
お祈りとともに
捨てられたものたちに
パパママ
お浄土のひとたちに
ありがとう
つたえた
姉上さまに
弟家族に
ありがとう
つたえた
お仏壇のまえ
ありがとう
ごめんなさい…
生きてる
生きてる…
生きていて
生きていて…
無事に
無事にいてください…
かならず
かならず
無事にいてください
ありがとう
また
明日
おやすみなさい