シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

いまなら

かなしんではいけない

そう

言われた

何度となく

 

そういう

言葉さえ

 

かなしかった…

 

まだ六歳に

わかりっこない言葉だ

 

 

交通事故にもしないで

いつもどおり

にこにこして

 

自転車に車

接触し転倒

 

ちょっと手

怪我したんだ

と言って

 

 

おじいちゃんが死んだ

 

麻痺硬直の異変から

二週間ほど入院し

会えないまま

 

天国に行った

 

破傷風だった

 

 

この国は

いまだに

破傷風大国なんだって…

 

やっぱり

ワクチンなんだな…

 

破傷風ワクチンは

ワクチン本来の

長期の免疫

きちんと

得られる

って…

 

いまなら

わかること…

 

 

死んでも

かなしんでいたら

その人が

天国ゆけない

かなしんだらいけない

なんて…

 

とても

かなしくて

こわい言葉だった

 

わたし

いまだに

おじいちゃんの死の

かなしみ

 

こころに

おいて生きてる

 

六歳のわたしが

まだ

わたしの内には

いる

不自由…

 

 

 

パパも

 

ママも

 

親友たちも…

 

 

同級生も…

 

 

誰ひとりも

こちらの

現実の

人間の世界には

不在の人となった

 

切に

切に

天国を

信じねば

 

生きてゆけないように

おもえた

 

なのに…

 

ずっと

いっしょ…

ここにいてくれる

 

今日も

 

いつも

おもう

 

疲れすぎると

絶望みたいな

暗い重いものがくる

 

昨日の作業

途中からは

山登りの冒険みたいになった

ずっと

こんな

体力に見合わない片付け

やってきたなあ

 

ものすごい芳香の

大量の綿埃

かき集めて

 

かなしくて

こらえきれなくなった昨日

片付け

いつも

こうだ…

 

 

ひたすら

ひたすら

お仏壇の前に座ってた今日

 

雨の日曜日

雪を溶かして

 

重たい雪に変わるんだ…

恐怖したけれど

居間の配置替え

今日も

できず…

 

 

 

姉上さまには

ごめんね

休んでいた今日

 

 

勇気が

ついえて

 

こわくて仕方ない

なのに

動けない

おこもりの日々

 

 

この世に

籠山行

などという

 

死の行のような

病死狂死の危険も

厭わず

かえりみず

 

仏と

ただ

在る

十二年の年月を

来る日も

来る日も

つなげて

 

毎日

ひたすら

整然と

行持に従って

 

ひたすら

仏と

祈りと在る

という行もあるのだ…

 

なのに

わたしは

と言えば

 

なまぬるく

無価値

無意味…

そして

 

愚か

自分をおもうのだった

 

 

孤絶

けっして

するべきでないことだ

 

知ってる

 

修行とても

十二年籠山行は

あきらかに無謀とわかる

 

たった

この一年で

自らを

ぶっ壊したのだから…

 

 

人は

人の

輪に

勇気をもって

飛び込んでゆかなくてはならない

 

和み

睦まじく

助け合い

生きてゆかねばならない

いまなら

そう

わかる

いや…

 

すでに

かなしいほど

知っていたことだ

 

わたし

という人間が

不足で

いたらないために

いまの

 

この

絶望と

 

孤絶が

あるのだろう…

 

 

かなしみに

人は

萎み

やがて

死ぬ

わかる

 

パパママが

そうだったように

 

不可思議な死に至った

愛する友たちが

そうだったように…

 

それでも

なんとしても

誰が

どのような言葉を

かけようとも

 

かけまいとも

 

自分というものを

生きて

動かすものは

自分

ただひとりで

 

いまなら

あの

いつも

にこにこ

おだやかにいてくれた

友の

 

血を吐くようであっただろう

苦しみが

 

すこしは

わかって…

 

そう

おもうと

 

泣けてしまった

 

お仏壇の前で

しばらく

しずかに

泣いたら

 

寒くて

動けなくなった

 

 

祈りと

あること

 

祈りが

あること

ただ

ありがたい

おもった

 

 

 

わたしと

いっしょに

生きてくれて

 

ただ

かなしみ

笑ったり

泣いたりしながら

 

ただ

じっと

共にいてくれた人

 

すべての人たちは

もう

天国だ

 

しずかに

祈った…

 

 

整然

とは

かたちでなく

 

内なる世界の

精神の

整理

 

昨日

ひとりでは移動させられない

劣化した合板家具を

ノコギリで解体して

それも

 

できる限り

うつくしく

整然としよう

 

捨てる家具に

一本

まっすぐ

線を引き

 

まっすぐ

まっすぐ

ちょうど半分

にしたのだった

 

合板の

かなしみが

 

辺り一面に

飛び散った

 

綿のような

積年の埃たちも

素手

集めて

捨てる仕度して

 

いつものように

這いつくばって

アレルギーと虚弱に

翻弄され嗤われるようにして

 

ひとつ

なんとか

自力で移動させられて

 

 

今朝は

起きるなり

まるで

奇蹟?みたいに!

 

始末されて

まっぷたつになって

捨ててもらうのを

待っているかのような

古い重たい合板家具を

 

真っ先に

眺めて

 

自分がしたの?

おもった…

 

 

これは

 

きっと

パパ…

って

パパの助け

おもった

 

ありがとう

 

 

いまなら…

わかるんだ

シーちゃん

ばかだよ

わたし

 

 

けど

いまは

 

タブレット

壊れたら

 

音信不通となっても

ひとり

死んでてもよいなあ

とも

おもうのだった…

 

生きて

生きて

一所懸命

生きて

死ぬ

それだけのこと…

って

 

 

勇気

ない

動けない

 

こわい

こわい一年

過ぎた

 

でも

姉上さまのおかげで

 

生きているのだ

生きてこられた

 

ありがとう…

 

 

生きている

今日が

目覚めたことが

 

ありがたく

うれしい…

 

毎日

毎日…

うれしい

 

 

ありがとう

 

 

いつか

平和は

かなうと

祈る

 

人の

おもいによって…

勇気によって

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

ちいさな

ささいな

争いにも

 

傷つく

不自由…

 

それでも

今日

生きてる今日

 

ありがとう…

 

 

小豆

食べたくなった

みんな

大好きな小豆…

 

とっくに賞味期限切れの白玉粉

発見してしまった…

白玉だんごにした

 

 

争いから

 

人間が

こわい

生きた人間が

こわい…

 

わたしも

生きてる

人間なのに…

 

 

かなしくて

ただ

生きてる

 

あなたは強いから!

姉上さまは

何度も

何度も

言ってた

 

泣けた

ただ

泣けた今日

 

 

平和

祈ってた今日

 

 

無事にいて

 

生きていて

 

祈っています

 

かならず

かならず

無事に…

 

ありがとう

 

また

明日

 

 

おやすみなさい