シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

終わりへ

死のお片付け

と言い

 

そう

念じながら

 

まったく

覚悟が足らないんだなあ

 

もの

の山

あらためて

見渡していた

 

こころに

問いつつ…

 

 

俺は天国へは行けないんだぞ…

 

さみしいな…

 

パパが

真っ暗の病室で

一度きり

わたしに

言った言葉

 

きこえてくるなあ…

こんなときには

 

 

天国

極楽浄土

信ずる者の言葉

だったんだなあ

 

 

今日は

そんな

パパの言葉

 

わたしにかけてくれた言葉

 

かみしめた

シーちゃん

 

 

夏になったら

 

あったかくなったら…

 

お風呂場で

足で踏んで?

洗って

干して…

なんて

 

明日は

ないかも!だよね

パパ

って

 

あの

芳香猛烈な

謎のシミがついた

羽毛布団やら布系

 

芳香

イコール

シリコン

プラスチック…

 

クリーニング屋さんも

お布団屋さんも

新たな芳香やら

洗剤やらの加工なのだ

 

捨てるしかない!

 

わかっていたのになあ…

 

死のお片付けなんだよ!!

自分に言ってた

 

始めてしまった

からには

 

終わりへ

 

 

終わりを見なくては

終わらせなくては

 

安心を

平和を

 

勇気を

とりかえせないなあ…

 

きちんと

この手で

終わらせなくては…

捨てるもの始末した

 

 

ウクライナのひと

その

インタビュー

きこえてきた

 

ラジオ

止める?

いいや…

 

ちょっと

きいた

 

 

ウクライナ人は

戦うという選択肢しかない

 

 

そう言ってた…

そこだけきこえてきたから

どのような立場のひとかも

わからなかったけれど

 

戦うしかない

 

そうして

 

原発

事故寸前の

危機という…

 

 

追いつめられているなあ

 

 

戦うしかない

戦うしかない

 

しばらく

その言葉

消えなかった

 

ラジオ

消して

 

捨てるんだ

おもった

 

捨てるものたち

ちいさく

ちいさく

ぎゅうぎゅうと

 

ちいさくしてゆく

 

座布団は

姉上さまが

綿が化繊で?悪くて

座ると苦しくなる座布団

って

 

とても

嫌がってたっけなあ…

 

それに

正座して座る人間は

ひとり…

もう

わたししかいない…

 

カビ部屋の仏間で

カビ畳の上で使っている座布団

使ってから

カビ臭くなったら

捨てようと残した

 

果てしない?

ちがうよ…

ここまで

 

ここまで

来たんだよ

って

自分に言ってた

 

 

天国

ゆけない

って

きいたとき

 

なんてこたえてたかなあ?

パパ…

 

さみしいな…

には

 

さみしくないよ!

みんないるよ

みんな来てくれるよ

って

 

まぬけな…

残酷な

 

おろかな

言葉

かえしてた…

 

 

ごめんなさい

 

さみしいね…

パパ

 

さみしいよ

ごめんね…

 

お仏壇に

祈る夜

 

捨ててゆこう

捨てて

ゆくよ…

 

体力も

気力も

どんどん消えてくんだ…

 

手をつけず

始めていないのならば

いっそ

楽なのだという

 

お片付け生業としてるひと

心理学精神医学のせんせい

一様に

そう言ってる…

 

 

そしたら

ネズミまで出て

捨てるしかないものたち

とも

格闘?

 

ずっと

狂ったみたいに

洗ったり消毒したり

挙げ句

捨てて

 

洗濯機

使うの

怖くなってしまうわたしって…

 

むちゃくちゃだなあ…

 

自分の

こころ

 

すっきりと

 

なんの

こだわりもなく

はればれと

 

おだやかに…

 

ふかく

大きく

息して

 

見つめること

できるように…

 

終わりへ

ゆこう

 

 

本は

 

ずっと

そばに

いてほしい

 

そう

おもえる本

だけを

選んだ

 

 

今夜は

お仏壇のまえ

すこし

 

『宿無し弘文』

また

読む

 

泳げるひと

だったという弘文

終わりは

 

池で

溺死…

 

 

お悟りした

高僧

おもう

 

兄で

寺を継いだお坊様は

 

裸の人

弘文を言ってた

 

裸の…

 

僧だって…

お悟りしたって…

 

くるしいんだなあ

ましてや

 

誰にでも

愛され

 

誰のこころも

わかってやれる

裸の人

ならば…

 

くるしいよなあ

弘文さん

 

お祈りして

 

この本は

もっと

わかるまで

もっと

読もう

 

ありがとう

祈る

 

 

明日

あたえられたら…

おろか

だけど

 

あったかくなるという

明日

夢見て

 

捨ててゆこう

 

おもう

 

 

 

びっくりするほど

耳から流血してた

 

しもやけも

いちばん

重い…

けど

 

炎症

破裂して楽になってた朝

また

いちにち

あたえられた

 

 

いま

ある

祈る夜

 

ありがたくて

 

ここまで

生きてこられたこと

ありがたくて…

 

パパに

ありがとう

お祈りした

 

 

ありがとう…

 

パパ

もう

さみしくないねえ

 

 

終わりへ

 

終わりへ

 

たどりつけるよう

みまもって…

 

 

 

今夜

無事

終わり

 

すこし

やすめているよう

 

祈ります

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい