シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

こまやかな

おじいさんになった詩人

 

とても好き

というわけでも

 

嫌い

ということもなかったけど

 

詩人

というのに

童話もつくるのに

 

ちょっと

はらはらするなあ

って

いつも

読んでた…

 

 

年齢かさねてきて

なんとなく

やさしくなった?

 

なんとなく

 

言葉あそび

減った?

って

 

そう

おもってた

 

 

こないだ

その詩人

絶望的な言葉で

いまの世の中を

語っていて…

 

もう

なんでもありだと

あきらめてる

 

って…

 

 

詩人

夢みるひと

 

童心と

生きるひと

 

かなう

 

しずかに

 

こまやかに

 

いま

みて

 

夢みて…

 

つなげてゆくひと

って

 

そう

おもう

 

 

 

老人が

認知症になるのは

絶望するからだ

辛苦を

現実を忘れなくては

生きてゆけなくなる世の中を

変えてゆかなくてはならないんだ

 

言ってたのは

 

どこかの

お医者さん…

 

 

お医者が言う?

って

 

おもったんだけど…

 

 

お医者さんも

ひと

 

詩人も

ひと

 

 

ひとだ…

 

わたしも

 

ひと

 

 

ただ

ひと

シーちゃん

って…

 

 

背中

痛くて

 

正座も

姿勢たもてなくて

できなくて…

 

ママの病院に

毎日

通ってたとき

みたいに

 

台所に

しゃがんで

 

シンク下の収納に

よりかかって

ご飯を

食べた…

 

毎日

 

毎夜

歩いて帰っては

 

こうして

しゃがんで

 

ご飯や

おやつ

食べてた

 

体重ふやすため

 

ナッツやドライフルーツ

りんごや豆やゴマ

お気に入りだった

ミューズリー

 

まだ

焼いてたクッキー

 

これは

ジンジャークッキーで

 

生姜を砂糖で煮て

砂糖まぶしにして

クッキーにしてた

 

風邪?

ってときにも

疲れた

ダメだ…

にも

 

抜群に

効いたっけなあ…

って

おもいかえしてた

 

へとへとで

眠たくても

一所懸命

食べてた

 

ママに

会いたい

その

一心

 

わたしが

一所懸命

食べてたら

 

病院で

ママ

 

朝も

 

給食

ひとくち

でも

食べてくれて

 

ひとくちでも

 

ちょっとずつ

栄養されて

 

おいしい

 

ママの

 

また

食べたい

なってくれるかも…

って…

 

 

それと

 

介護するんだったら

体重ふやして!

筋肉ふやして!

って

 

看護師さんたち

介護士さんたち

笑顔で

ゲキ!

とばしてくれてた…

 

一所懸命

食べさせてくれて

一所懸命

お世話してくれてた…

 

 

こまやかに

みなさんに

みまもってもらってた

 

ありがとう

 

お祈りして

 

こころに

つたえてる

 

ありがとう…

 

 

 

いま

死のお片付け

なんだよ

 

食べて

 

また

ひとつ

でも

だよ

って

 

食べた

 

 

今日は

餓鬼?

なんて

おもわないで

 

食べた

 

ありがとう…

 

わるくしてしまいそうだった

お野菜も

みんな

皮ごと

無駄にしないで

 

いつもの

へんてこ不思議ご飯の

お野菜の常備菜にして

 

小分けして

冷凍した

 

 

わたし

いよいよ

無駄

してならないのだから…

 

ただ

姉上さまの

慈悲に

すがって

 

ようやく

生きてるのに…

 

なにひとつ

無駄

してならないよ

 

罰当たりにも

ほどがあるだろうという

 

そういう

生きざま

そういう

悪の自分

 

ぶざま…

 

 

でも

 

生きてる

今日

 

いま

 

あたえられた

いちにち

 

いま

ある

幸福

 

 

これ以上

なにを

ねがう?

 

 

ありがとう

食べた

 

ありがとう…

 

 

背中の痛み

ストレッチもできなくて…

 

 

こわい

こわい

ニュースきいた…

 

 

二十歳

 

絶望…?

 

 

 

こころ

怒り

 

占拠されたならば…

 

怒り

すがって

 

つきすすんでしまうんだろうか…

 

わからないけれども…

 

 

世界は

 

平和の道

それていて

 

じわりじわり

 

いちにち

 

いちにち

 

無軌道な

おもい

つながっていってしまうみたいで…

 

こわい…

 

 

こわいよ

 

パパ

ママ

 

 

あちらで

修行

しててくれてるという…

 

まだ

いまだに

 

かなしませてるなあ

って

 

ただ

ただ

 

ありがとう

ありがとう

言ってた…

 

 

どんな

かなしくても

 

くるしくて

やりきれなくても

 

かなしみ

くるしみ

 

罰当たり

 

わたしだ…

 

 

こまやかな

おもいと

せめては

みつめてやろう…

 

おしまいまで

 

 

ごめんなさい

 

ありがとう

 

無駄

せず

 

ただ

ありがとう

ゆこう

 

死のお片付け

かなえてもらえるように

 

食べた

 

 

 

ありがとう…

 

ごめんなさい…

 

 

 

無事に

 

おだやかに

すぎてくれて

 

平和な夜でありますように

 

 

 

倒れていないこと

祈っています

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい