この冬は
極寒豪雪の
ようだった
今日の
突風の予測は
外れてくれたので
泣きたいくらいに
うれしくて…
お仏壇のまえ
すわった
ありがとう
と
寒い
仏間にいた
鑑真和尚が
ただ
この国の
仏教のために
いのちかけて
障壁
幾度もこえて
海を渡ってきてくださったのは
六十七歳という高齢で
しかも
すでに
そのときは
盲目であったということ
今日
六日の日に
おもってた
なまぬるいなあ
わたしという悪は…
どこまでも
おろか
どこまで
おちるんだ?
シーちゃん
って
寒くて
一晩中
手足が氷みたいで
きりきり冷えて痛かった
ラジオ
真夜中のラジオ
満州の開拓団として
父親と渡航したひとのお話
これを
きいたのは
二度目だった
戦争なんか知らなくてよいから
どうすれば戦争しなくてすむか
どうすれば平和に暮らせるのか
それを考えつづけてほしい
どうすれば…
鑑真和尚の遺偈
我れ若し終に亡ぜんときには
願わくは坐して死なん
いつかどこかのニュースで知った
ひとり暮らしのおばあさんが
洗濯物をたたんだ姿のままで
きちんと
正座して亡くなっていた
っていう…
そのとき
その女性は
我が身の
そのときが
わかっていたんだろうなあ…
って
じっと
そのまま
すわって
おそらくは
ありがとう…
って
そう
おもって
読んでた
死のお片付け
と言いながら
寒さにめげてしまった
申し訳無さに
のみこまれて…
なんにも
考えられない
ごめんなさい
つなぐ
すててゆかねばならない
死なねばならぬ
いのち
なのに
ごめんなさい
かなしいこと
ばかり
おもわれて
脳みそ
それで
いっぱい
みたいになってるんだなあ
冬
ちびの頃の
姉上さまとわたしのお部屋
おもいうかぶ
もう
そのお部屋は
無いんだけど
お布団
ふたつ
並べて
眠ってたなあ
安心して
猫もいてくれて
机も
ふたつ並んでた
パパ
いつも
整理整頓だぞ!
って
きちんと
きれいになっていれば
お勉強が身になるんだって…
整頓整頓しただけ
で
すっかり
安心して
ろくろくお勉強はしてなくて…
それでも
パパはそれで
よろこんでくれた
あのときも
ラジオ
きいた
ちびには
わからぬままに
rock
奴隷とされた
ひとたちが
過酷な農作業に
たえられるように
と
うたって
うたいつがれている
魂のうた…
いったい
いつまで…
どうすれば…
おろか
道もとめる
かすかな
勇気も
なくて
なんにもできない
どこへもゆけない
ただ
お祈りして
すわった
ごめんなさい…
ごめんなさい…
戦争が終わりますように
世界が平和になりますように
本
読む
さえ
かなわなくなった
どうすれば?と
本の
始末
おもってた
もう
ただの一冊も
手に入れたらいけない
と
おもう
どこへも
ゆけない…
図書館
ゆけば?
ゆけたならば
読んでみたい
ただ
一冊の本
待っていてくれるのかなあ…
古灯油入りの古ストーブは…
点火
と同時に
黒煙
あがったので
おそろしくなって
すぐに消した
どうすれば…
なんにも
考えられない脳みそ
でも
生きている
生きているよ
って
ありがとう
ごめんなさい
と
すわった
ごめんなさい…
ありがとう
ごめんなさい…
今日の
無事
ただ
祈ります
おだやかに
大事なく
ただ
無事に…
やすめていますように
かならず
かならず
無事にいてください
ありがとう
また
明日
おやすみなさい