シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

瞋恚

貪瞋痴

 

とん

じん

 

三つの

煩悩

 

さんげしている

つねに

 

つねに…

 

 

もっとも

 

瞋恚

しんい

 

怒り憎むこと

 

 

怒っていないなあ…

憎んでいないなあ…

シーちゃん

明け方

起きた

 

怒りはしなくとも

憎みはしなくとも

おろか

 

ごめんなさいって

 

祈ってた

 

こわくて

 

かなしくて

 

 

申し訳なくて

ずうっと

こういうわたしだ…

 

 

零下の夜からの

朝も

零下

 

零下の今日

 

 

恐怖

 

ただ

恐怖

きた

 

 

生き物の脳は

きっと

生きる

のため

まず

恐怖

感知するようになっているんだろう

 

そうでもなければ

生きのびてこられなかったんだろう

 

ことに

よわいものたちは…

 

 

古ストーブの臭気に

倒れかけてた

夜中くるしくて

 

生きているから…

 

生きているから…いまは

お念仏のようにつなげてた

 

なんで?

どうして

 

自分とは

生まれてきたのだろう

 

こんな

おろか

 

わたし

 

わたしひとり悪

さんげして

お念仏

つないでいた

 

 

わたしありき

はじまって

生まれたこと

生きていることによって

 

不幸に

させてしまうよりしようもないような

あわれな縁につながれてしまったものたちへ

 

さんげして

ごめんなさい

つなげている

 

わたしというものから

うまれつづけただろう

不幸

おもっていた

 

孤絶

にも

うまれつづけてしまうのだろうか…

 

かなしくて

かなしくて

やりきれない

いちにち

 

いちにち

ゆく

 

 

生まれたからには

 

生きているからには

 

あるいは

死んだのちも

 

記憶か

傷か

なにかしら

消えない

しこり

となって

 

その相手が

死んだとしても

 

たとえば仏の言う

因縁と

なってしまって

 

ながく

ながく

つなげられてゆく

 

 

そう

おもわれて

祈るしかなくなった

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

南無阿弥陀

 

南無阿弥陀

 

南無阿弥陀

 

つなげて

 

つなげていた

 

 

 

戦争

たえないことさえ

ひと

一度きりの生

 

ひとつきりの

いのちであって

ただ

ひとりの

ひとであるのに

 

くりかえされて

つなげられてしまうのは…?

 

怒り

憎む

おおもと

その

煩悩

 

おそろしい

 

消えず

 

ながく

つなげられているのだとしたら…

 

つなげられてゆくのだとしたら…

 

どんなに

ごめんなさい

つないだとしても

 

ゆるされることはないのだろう

それでも

 

それでも

 

ごめんなさい

 

つなぐ…

 

 

死なねばならぬ

いのち

 

寒さに

くじけているなんて

 

悪…

 

ただ

お仏壇のまえ

つたえていた

 

 

怒り憎むこと

けっして

ない

 

おつたえしていた

 

 

ただ

ありがとう

なのに…

 

ただ

 

ありがとう

つたえたかったのに…

 

おろか

 

かなしい

 

 

かなしみ

こわさ

きても

 

うけて

たえて

ひいてゆくを

待つばかり

 

生きている…

 

ありがとうと

祈ってた

 

 

後悔

無き

ひと

 

いないという

 

後悔と

さんげして

死なねばならぬ

いのち

なんにもできなくとも

たったひとつでもだよ

って

 

具合わるくなってしまうとわかって

一旦しまおうと寄せた古いストーブ

もどしてきて

また焚いてた

 

 

貪ること

根は

 

恐怖

 

はなれてゆけるように…

せめては

ともに

いてくれるとおもわれる

天国の

お浄土のひとたちと食べよう

お仏壇におそなえして

お仏壇のまえに食べる

 

 

なんにも

できない

かなしい

零下の日

 

生きていて

ただ

ありがとうで

いっぱいなのに

いつしか

 

生きていて

ごめんなさいと

なってしまった

おろか

詫びる

 

 

生まれたからには

死なねばならぬ

いのち

捨ててゆかねばならぬ

我が身

 

捨てる

ということ

単に

もの捨てだけでも

ときに

恐怖となってゆく

迷いとなって

おちる

 

捨てる

ひたすら

申し訳なくて…

くるしい

 

ここまでも

くるしかった

 

かなしくて

どうしようもなく

申し訳なかった

 

まだ

終わらない

 

 

くるしい

 

かなしい…

 

もの

ここに

詰め込まれていた

くるしみなのだろう

そうおもわれて

 

それら

すべて

 

我が

おもわれて

 

おしつぶされそうだった

まだ

終わっていないのに

寒さにもくじけて

恐怖して

 

たちつくしてしまった

 

ごめんなさい

 

 

古い冷蔵庫

まだ買い替えず

そのまま使っている

 

古い台所は

ずうっと

あれから

ずうっと

あのまま

使われていた

と知ったとき

 

あのときも

申し訳ないきもちで

いっぱいになってしまった

 

もっと

もっと

はやくに

お片付けしてあげられてたら

その

ずうっとまえにリフォームしたときの

パパとママとわたしと工夫した収納のまま

ただ

ものが大量に詰まって

使いにくそうな様子を

呆然と見ていたなあ

 

 

しばらく

なんにも

ひとつも

捨てられなかった

 

徒労に終わったけれども

 

救おうという

お掃除しては

しまうという

くりかえし

つづけてた

 

けれども

いま

 

不要のもの

朽ちかけているもの

捨てずにこのまま

置いたら?

 

そしてわたし死んだら…?

って

 

それは

台所だけでなく

お家ぜんたいに言えること

なのに

寒くて

 

たちつくしてしまった

 

ただ

かなしくて

 

申し訳ない

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

 

ただ

祈り

 

ただ

食べ

 

ただ

生きていて

 

ごめんなさい

 

ひとり

平和

祈っていた

 

 

戦争が終わりますように

 

世界が平和になりますように

 

 

寒い

 

寒くて

ずうっと

寒くて…

 

古いストーブ焚いて

すこしあたたまって

すぐに

ふらふら

ふわふわ

 

ぼんやり

くるしくなってしまったので

開放して

換気した

 

 

これから…

 

雪国は

生まれたところ

だけれども…

 

かなしい

 

ひと

ひとり

生きるも

ほんとう

たいへんなところなんだなあ

 

そうして

かなしいところに

なってしまったなあ

 

 

生きて

ある

いま

 

生きていること

 

ただ

申し訳ないけれども

いま

 

幸福の

すべて

 

ありがとう

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

 

どうか

かならず

無事にいてください

 

倒れないように

無事に

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい