シーちゃんと

時々はシーちゃんとこっそり泣こう

ほほえみ

捨てられなくて

 

かといって

そのままは

 

傷んでいて

つかえない

 

修繕のため手をかけても

 

なかなか

はかどらない

 

 

すぐに

疲れてしまうなあ

シーちゃん

って

 

おもい

 

祈り

 

ちっぽけなこと

 

取るに足らない

つまらぬこと

 

ほんとう

いったい

なんのため?

 

そんなこと

ばかり

こまごま

 

ちまちま

つなぐ

 

そういうわたしで…

 

おこもりの

いま

 

なにやら

なにかわからず

ただ

おっかなくて…

 

身動きとれないいま

ずっと

 

ずっと

そうしてきたこと

 

水や

森や…

 

ひと

生きるかぎり

傷めつけられてゆくしか

ある意味しようもないような…

 

そういうところの

 

いちばん

もっとも

ちっぽけなところ

それ

 

ここ…

 

ここだ

いつも

ずっと

おもって

 

もの

水も

熱も

 

せめて

 

きれいに

無駄せず

つないできた

ひとつ

 

いま

つなぐ

 

 

もう

お家は古くて

 

かるくしてあげないと

かわいそう…

 

体力すっかりなくなったのに

ちょっぴりでも

ひとつでも

かつてのような

 

命懸けの

一所懸命

 

いちにち

かなうと

 

いちにち

へこたれてしまって…

 

お針

さえ

手をかけられなくて…

 

 

よい品でもなくて

捨てればよいのに

という

ママのもの…

 

でも…

 

ほほえみ

 

ママの

笑顔

まだ

消えていなかったときに

 

ママ

しあわせそうにして

すこしだけ

頼りなさそうにして

着ていたなあ

って…

 

会えていなかった頃で

 

会いたくて

会いたくて

泣いてたなあ

って

 

 

ほほえみ

ばかりが

おもいおこされてしまって

 

捨てられない…

 

 

 

お彼岸

なのに

 

お寺も

お墓も

ゆけない…

 

お経も

おとなえできなくなって

 

仏間のお片付けすら

できなくなって…

 

ごめんなさい

 

泣いた

 

 

なのに

 

ほほえみ

おもわせてくれて…

 

ここに

 

かつて

あった

家族の笑い

 

ほほえみ

 

すべての

この家の者が

すべて

亡くなってしまったとしても

 

お家も

お墓も

 

なくなってしまったとしても

 

生きて

あったこと

だけは

 

たとえ

 

知るひとたちも死に絶えて

 

誰の記憶にも

なくなったとしても

 

のこるのだ

 

そう

おもえる…

 

 

ありがとう

 

しずかに

 

しずかに

お祈りした

 

手を

あわせた

 

 

祈りと

お経と

 

お洗濯していた

 

ありがとう

 

 

 

冷蔵庫に

たくさん

お料理こしらえて

冷凍庫に

たくさん

美味しいものを用意して

 

一所懸命

食べるを

つなげてくれていた

パパママを

 

ほほえみを

 

忘れないよ

って

 

まだ

そのまま

 

壊れかけの冷蔵庫そのままで…

まだつかっているんだけど

 

もう

お肉も生魚も食べない

 

だから

不自由

なくて

 

いま

しか

なくて…

 

 

 

ただ

 

ただ

 

ありがとう

 

祈る

 

 

 

 

無事に…

 

 

いちにち

いちにち

無事に…

 

ただ

無事

祈ります

 

 

かならず

 

かならず

無事にいてください

 

 

ありがとう

 

 

また

明日

 

 

おやすみなさい